Space.1「宇宙一のスーパースター」

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 新シリーズ開始!

 今シーズンもよろしくお願い申し上げます。

 開幕となった「キュウレンジャー」、とにかく賑やか! それが第一印象です。画作りも演出もアクションも、そして特撮も賑やか。第一話はいわゆるパイロット版としての側面もあるわけですが、この賑やかさが今シーズンの在り方なんですね。これは楽しみです。

イントロダクション

 導入部では、いきなり宇宙幕府ジャークマターに支配されつつある宇宙の描写が登場。「開放」がテーマとして掲げられているという点では、スター・ウォーズのシリーズ当初のコンセプトに似通っていると言えます。圧政下にある民というシチュエーションはドラマを生みやすいという側面もあり、楽しい雰囲気の中で重厚なストーリーも期待できそうです。

 一方で、88の星座で星系を分類するファンタジー寄りな設定と、イマジネーション豊かな惑星描写のSFティックな雰囲気が、いかにも戦隊らしくて良い感じ。やはり戦隊は戦隊だと主張する制作姿勢は、特筆に値するものだと思います。思いっきり変える部分と、全く変わらない部分を併せ持つシリーズを目指していることが、よく伝わってくる作風ですね。

 今シーズンは、スターティングメンバーが掟破りの9人となっているのですが(村上克司先生はどう思っておられるのか...笑)、素面キャストのメンバー5人+スーツキャラクター4人というのが実に巧いところ。5人のフレッシュなキャストを核に据えるという不文律は守った上で、個性的な追加メンバーを初めから登場させるという、アクロバティックな方法が用いられています。

 しかし、圧倒的に新しいのは、スーツキャラクターのメンバーが完全に素面キャストのメンバーと等価であることでしょう。第一話を見ても、当初の三人は素面2人+スーツ1人。追加で素面1人+スーツ1人。しかも変身後はそれぞれが普通に戦隊メンバーであり、そこに素面か否かの区別はないのです(変身後にやや装飾が多いか否かの違いはありますが)。「ゴーバスターズ」の追加戦士として、同様のメンバー構成が試みられた実績があり、それが成功したからこその選択だと思います。また、メンバーにベテラン声優を参加させることで、全体的な芝居のクォリティアップに繋がるというのも利点ですね。

キュータマ

 戦隊トイは、例年通りコレクションを意識したものとなり、劇中でキュータマとして登場するのがそれです。

 変身アイテムであり、武器の一部であり、巨大戦のコアでもあるという困難な要求を、見事に具現化したものになっており、クリアパーツによる高級感も手伝って、宇宙テーマに相応しい神秘的な魅力を放っています。

 音声ギミックについては、既に目新しさをかなりスポイルされてしまっている(近年はウルトラマンでさえもやってますので...)気もしますが、特にキュータマに乗り込んで巨大戦に移行する際の描写が素晴らしく、球体であることを生かしてグリグリと回転するシステマティックなギミックは大きな魅力。ジャイロ機構付きのコクピットにも似た動きの魅力は、これまた宇宙テーマに相応しいものと言えます。

 キュータマをどうやって手に入れるか? という点については、かなり曖昧です。というより、選ばれし者が何らかの方法で巡り会うといった感覚で、その意味でもファンタジー寄りと言えます。SFファンタジーを標榜する今シーズンの、正に象徴的アイテムですね。

宇宙幕府ジャークマター

 幕府、将軍、家老、代官...。モチーフが分かり易くていいですね(笑)。他のネーミングも既存語のアナグラムで非常に分かり易くなっています。これはやはり、ヒーロー側の人数増加による複雑化とのバランスをとっているのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。

 ボスにあたるドン・アルマゲは、その描写がホログラムのようなものになっており、ここでもスター・ウォーズにおける皇帝の描写が引用され、宇宙SFファンタジーとしての雰囲気を盛り上げています。勿論、スター・ウォーズ一辺倒というわけではなく、そこには戦隊の敵組織らしい感覚(戦闘員の動きがコミカルであるなど)が巧く導入されていました。

チャンプ、ハミィ、スパーダ

 当初よりキュウレンジャーへの変身能力を備えた者たち。既にいくつかの戦いを経験しているという設定が、物語の導入をスムーズにしています。

 レッド以外に既に先行して活躍しているメンバーが存在する戦隊の嚆矢は、恐らく「ガオレンジャー」だと思われますが、この手法はミステリアスなヒーローに視聴者の代表となる人物が合流していく醍醐味を生みます。今回はそれだけではなく、世界観をまずこの三人で提示してしまい、そこにレッドとなるであろう人物を乱入させるという方法を用いて、構築と破壊を一気にやってしまっているところに凄味があります。

 チャンプは牛型のロボット。リングスターの異名を持つオウシブラック。リングスターということは、プロレス技に長けているということですかね(早くもアントニオ猪木氏の決め台詞を多用してました)。あるいは鼻輪にもかけている?? スーツアクターは我らが岡元次郎さんとのことで、パワフルなアクションにも期待が持てます。また、声は大塚明夫さん。ガンダムファンならばガトー少佐、スター・トレックのファンならばライカー副長、手塚ファンならブラックジャック。ベテラン同士のタッグが眩しいほどの存在感です。

 ハミィはヒューマノイド。シノビスターの異名を持つカメレオングリーン。カメレオンのステルス能力を駆使する忍者ヒロインということですね。メンバーの一人が忍者なのは、「ダイナマン」や「マスクマン」といった初期戦隊でも見られた設定ですが、良い感じに目立つ存在なんですよね。最年少のヒロインで、しかも飛び抜けて明るいというキャラクターが良いです。また、グリーンの女戦士は「ニンニンジャー」の番外編にミドニンジャーが登場した程度なので、非常に新鮮ですね。キャスティングも完璧で、可愛くて活発なキャラクターに完璧なフィットを見せています。

 スパーダもヒューマノイド。フードマイスターの異名を持つカジキイエロー。フードマイスター(Food Meister)なので、もはや「スター(star)」ではないというのが笑えます。そして料理人ヒーローというのが凄いですね。料理が得意なメンバーというのは「デンジマン」のデンジイエロー=黄山純がオリジンですが、彼はあくまで特技の一つが料理という設定でしたからね。料理人を名乗るヒーローというのが本当に凄いです。セリフも料理に絡めたもので洒落ていて、軽妙なキャラクターが確実に明るいムードを牽引しています。

ラッキー

 「よっしゃラッキー!!」が口癖のレッドヒーロー、それがラッキーです。ラッキースターではなくスーパースターを名乗り、自分がフロントマンであることを宣言するあたり、かなりのお調子者キャラクター。前作の真面目で物静かで時に熱いレッドだった大和とは、かなり方向性が異なるキャラクターになっていますが、実は長い歴史の中では、こちらの方が主流のレッドだったりします(笑)。

 前段の三人もかなり明確なキャラクター付けが行われていますが、このラッキーにも極端とも言えるキャラクター付けが行われており、あらゆる事象が彼に味方する強運の持ち主(正にラッキーマン)という描写が、笑いを生みつつも爽快感に溢れているあたり、見事。挙げ句の果てに、しし座流星群に乗って宇宙空間から起死回生を果たし、キュータマを手にしてシシレッドに変身を果たすという、もはや半分理解不能でヒロイック過ぎる描写が、彼をヒーローたらしめました。正に鮮烈なデビュー。

 その後も、彼の強運だけでキュウレンオーの完成までに至ってしまうのですが、制作上の要求をキャラクターの特性で乗り切ってしまうテンポの良さも戦隊ならでは。予定調和を文脈で納得させる、熟練の職人芸に感服します。

ガル

 最初からキュウレンジャーの三人と、生まれながらのヒーローであるラッキーとは異なり、今回唯一ドラマを背負っていたのがガル。人狼型のキャラクターで、中井和哉さんの声がとにかくクールかつ凶暴! 格好良いです。私は犬好きなので、マスクの犬っぷりにも惚れてしまいました(笑)。

 登場当初はクールっぽさを漂わせる見た目とは裏腹に、種族をジャークマターに全滅させられた過去にとらわれて内向的な(しかし攻撃的な)面が目立ち、そのキャラクター性の複雑さを漂わせていました。ラッキーと喧嘩になり、ラッキーに一撃を食らわされたことで彼の中に少し変化が現れます。

 その後、チャンプの危機に立ち上がることになるのですが、そこにラッキーの戦いへの強い意志が介在しているあたり、実に巧いところ。ガルの奥底に眠る戦意が失われていなかった...! という熱い展開が、これまた戦隊に相応しい「仲間入り」のメソッドであり、オーソドックスながら感動を呼びます。

 そして、ビーストスターの異名を取るオオカミブルーへ変身。狼のブルーと言えば、「カクレンジャー」のサイゾウが嚆矢ですが、パーフェクトなお調子者のサイゾウに比べ、こちらはちょいワルな熱血漢といった感じ。中井さんの声がそれをさらに増幅させていて、気持ち良いキャラクターになっています。巻き舌でチンピラっぽいのが可笑しくもありますね。

ラプター283

 宇宙船オリオン号を守るアンドロイド。戦隊シリーズにおけるピーボやコロンといった、いわゆるマスコット系司令キャラの系譜にあるキャラクターですが、実は...といったところが面白い。

 それよりも、M・A・Oさんが声を担当しているのがより鮮烈なのです。ゴーカイイエローことルカ役で戦隊ファンにはおなじみの市道真央さん。声優業における名義がM・A・Oであり、戦隊OGの返り咲き! ルカと同一人物の声とは思えない萌え属性なキャラクターボイスが素晴らしい。どんな活躍が見られるのか、そして顔出し出演はあるのか。色々と気になりますね〜。

次回

 徐々にメンバーが集まっていくという展開がいいですね。次回はさらに二人登場します! 特色あるキャラクターと展開、仕掛けに期待大ですね。