第38話 地上壊滅の序曲

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ストーリー

 ベース・タイタンが破壊されてしまった。世界各地のUDF基地も全滅だ!

 その2週間前…。

 機械獣スカウトバーサークが出現。攻撃を開始した。街には奇妙なオブジェが出現。カイトはウルトラマンマックスに変身すべく、マックススパークを掲げる。とその時、異空間にマックスが出現し「地球から去らねばならない。M78星雲に帰る時が近づいている」とカイトに告げた。その言葉に驚きつつ、カイトはマックスへと変身を遂げる。マックスはスカウトバーサークに善戦し、マックスギャラクシーでこれを粉砕する。しかし、スカウトバーサークはマックスの戦力を分析しているようだった。

 自分たちだけでこの星を…と一人思いつめるカイト。エリーに対し、ミズキが不意に予知能力の有無を尋ねる。エリーは「予知ではなく予測です」と答えると、「人類が50年後に平和に反映している可能性は62%」「ミズキ隊員が50年後に生きている可能性は28%しかありません」と分析した。ミズキは最近嫌な夢ばかり見ると言い、自分の死について尋ねる。「ミズキ隊員が1年以内に死亡する確率は、48%です」と答えるエリーに愕然とするミズキ。

 その頃、街に出現したオブジェが、メッセージを伝え始めた。「地上の人間達に宣告する。今すぐ地球を汚す戦争行為を止めよ。化石燃料を燃焼させる経済活動を止めよ。」「文明を捨てて退化せよ。30時間以内に全ての経済活動を止めねば、我々デロスはバーサークシステムを起動し、全世界のDASH基地を破壊する。」ヨシナガ教授は既にオブジェの解析を始めていた。ショーンはオブジェを「オートマトン」と呼んだ。

 ミズキとカイトは基地の周辺捜査に向かった。「50年後、カイトはどうしてるんだろうな」と言うミズキに、カイトは「ミズキと一緒に生きてるさ」と答える。オートマトンは街の至るところに存在していた。オートマトンはカイト=マックスに手を出さないでくれと呼びかける。その頃、事態は急変していた。

 ベース・ポセイドンは地下からの攻撃を受けて壊滅したが、30分前にオートマトンの警告を受理した為、ダテ博士以下全隊員が無事であった。ヨシナガ教授はオートマトンを解析し、デロスが地殻とマントルの境界であるモホロビッチ不連続面上の、常に移動している空間に存在する文明ではないかと推定した。ベース・ポセイドンはその存在を調査によって発見したために、最初に攻撃されたのだ。ヒジカタ隊長は、デロスとの交渉を試みるべく、ダッシュバード3にドリルユニット装備を指示した。交渉にはカイトとミズキが任命された。UDFハンガーを臨時基地とし、防衛戦争を覚悟するトミオカ長官とヒジカタ隊長。

 ベース・タイタン付近の避難が進む中、カイトとミズキの乗るダッシュバード3は地中へと進んだ。「いつまでもマックスに頼れないというのは、以前から考えていたことだ」カイトは強く決意していた。しばしマックスのことで談話する2人だったが、センサーの不調により操縦ミスを誘発、デロスの世界と思われる地下空洞の中で墜落してしまう。ミズキの生命反応低下をキャッチするエリー。

 焦るカイトはデロスに呼びかけるが、攻撃は開始されてしまう。カイトはマックススパークを手に取るが、マックスが「これは地球という同じ星の、異なる文明同士の諍いだ。私がその争いに加担するわけにはいかない」としてそれを制止する。時を同じくしてベース・タイタンは遂に破壊された。カイトは機械仕掛けのサテライトバーサークに捕らわれる。ミズキはバード3の自爆をたてにカイトの開放を要求するが…。

 一方、UDF基地を破壊しつつ地上に現れた塔は、大気を高濃度の酸素に変換し始めていた。地上文明が、地球の環境を汚染してオゾン層を破壊、それによって有害放射線が地下にまで降り注いでいる。放射線によって滅びようとしているデロスは、バーサークシステムに保護を命じており、もうシステム停止は不可能だという。

 絶望に打ちひしがれるミズキ。カイトの呼びかけに「ごめんね」と答えた彼女の生命の灯火は、消えてしまった…。

解説

 いよいよマックス最終編。まずはマックスというシリーズらしからぬ、絶望的な感さえ漂う怒涛の前編を堪能。

 地底文明デロス、オートマトン、サテライトバーサーク、スカウトバーサーク、モホロビッチ不連続面(「モホロビチッチ」と記述する場合もある)…。小中千昭氏ならではの難解一歩手前のタームが並び、それがSF的な高揚感と物語の硬質感を演出する。

 今回はカタストロフィの描写が凄まじく、それによる絶望感へのいざないが大変効果的に作用しており、カイトとミズキのドラマがなければ、これはウルトラマンマックスというシリーズの一編からは、かなり逸脱した内容だともとれるだろう。もちろん、これらの演出は全て後編である最終回への布石なのだろうし、ウルトラシリーズの前後編は、大抵異様なテンションで絶望感をあおる前編と、カタルシスの待つ後編から構成されるのが常だ。

 八木監督もそんな脚本に応え、揺れるミズキとカイトの心情に呼応するかのように、地上が打撃を受けていく様を見事に映像化している。ベース・タイタン単体の破壊シーンも、テレビシリーズの枠をとうに超えた凄まじい迫力に満ち、各国のUDF拠点の破壊シーンに関しても、宇宙から地球を眺めたシーンという大胆なカットを織り交ぜて、地球規模の危機という点を強調しているあたり、制作スタッフの底力を見る思いだ。

 合成関係のスタッフの皆さんには相当なご苦労があったことだろう。というのも、ベース・タイタンの位置するお台場周辺の破壊シーンは、実景ベースの合成が主体で、いわばCGによる「絵」である。それも決して短いカットではなく、計算された細かいカットの組合せから成立している。崩壊するベース・タイタンの重々しさや吹き上がる大爆発のリアルさが秀逸で、相当な手数を要したに違いない。

 さらに、デロスの地下世界は「想像するしかないもの」であるゆえ、ミニチュア・セットかマット画、CGあたりの選択となろう。これも相当な手間である。カイトとミズキにおける重要なシーンの背景となるもの故、その出来栄えには最善の努力がなされたものと想像される。今回は映像的に見るべき部分が多々あるため挙げだしたらキリがないが、これら2シーンは是非押さえておきたいポイントとなるシーンだ。

 さて、ストーリー面で言えば、何と言ってもミズキの「生命活動が停止」してしまう驚き。これに尽きるだろう。このクライマックスのために、色々と計算された痕跡が伺える。冒頭にウルトラマンマックスを登場させ、しかも地球から離れなければならないという重要な言葉をさらりと語らせる。また、そのことでカイトが地球防衛の自覚を高め、苦難や危険を共にしたミズキと本拠地へ赴く。本拠地へミズキを伴ったことが、結果ではあるがミズキの死を招いてしまったことに絶望したカイトが、自らの無力さに叫喚する…。

 そこにダッシュバード3のドリルユニットの初使用を絡め、全体の流れとスポンサーサイドの要求をも満たしてしまうところはご愛嬌だが、前編だけでもこの重々しい連鎖に言葉を失うほどの筋運び。マックスの世界を知る者にとっては、「ミズキの死」=「一時的なもの」という感覚が正しいが、それが後編で実際に「一時的なもの」として処理されたとしても、この前編のクライマックスはカイトに感情移入せざるを得ない迫力に圧倒されるのだ。

 どちらかといえば、タロウ的な雰囲気とウルトラQ的なセンス・オブ・ワンダーで彩られてきたマックス・ワールド。前編だけの印象で言えば、最終編の雰囲気は平成ウルトラシリーズ、特にガイアあたりを彷彿とさせる雰囲気であり、違和感を覚える向きもあるだろう。しかし、これも作家性が存分に発揮された、マックスならではの一編と解釈してみてはどうだろうか。解釈云々以前に、有無を言わさないパワーに圧倒されはするが…。

オマケ

 本編に圧倒されてオマケに堕すようなトピックが思いつかず、どうしようかと悩みつつ、オープニングを見返したときふとした違和感が。

 そう、トミオカ長官が本編に登場するにも関わらず、クレジットがないのだ。カメオ出演ということはありえないので、恐らくテロップミス。大変珍しいハプニングなので、オマケとして書き記しておきたい。