Episode 27 祈り -プレーヤー-

 突如現れた青いウルトラマンは、メタフィールドを展開し、そのスピードを生かしてビーストとの戦闘を有利に進めた。援護する孤門のチェスターδがビースト狙われ、それをウルトラマンが庇ったとき、ビーストは突如断片的に現れたダークフィールドに消えていった。

 現場近くで憐を発見した孤門は彼を尾行し、遊園地の彼の部屋に進入する。倒れ伏してしまった憐を介抱した孤門は、ハリスに憐の従兄と称して色々と世話を焼いた。孤門の目に映った憐は、あまりに翳りのない目をした少年であった。尾白との会話から憐がダラスより来たと知った孤門は、憐の情報をTLTのネットワークから検索していたが、全てシークレット扱いとなっていた。ふと「group P.P.」の文字を見つける孤門だったが…。

 その頃瑞生は、沙耶から憐の監視を命ぜられていた。しかし、松永管理官は沙耶に対してもその真意を明かそうとはしなかった。憐を監視する瑞生は、同様に監視する別の人物を目撃する。思わず飛び出した瑞生は憐に付きまとわれ、遂には名前を知られてしまうに至る。「記憶を消した人のために、悪夢が蘇らないようにいつも祈るの?」と尋ねる憐に驚いて逃げる瑞生。

 一方、ナイトレイダーの作戦室にホログラムで現れたイラストレーターは、新たに現れたダークフィールドをダークフィールドGと呼称し、それは見えざる手「アンノウンハンド」と定義した。そして、イラストレーターは孤門の尋ねる「group P.P」に一瞬戸惑いの表情を浮かべる。「まさか三番目のデュナミストは、プロメテの子…?」呟くイラストレーター・吉良沢。その眼前に幻の如く現れる憐。「久しぶりじゃん、優。」「2年半振りかな。」

解説

 ウルトラマンになる憐の紹介エピソードっぽかった前回に比べ、ぐっと深度を増した憐編第2話。新しいウルトラマンの活躍は冒頭に集約され、その後はじっくりと憐のキャラクターについて掘り下げられていく。このフォーマットは、ウルトラマンネクサスではもはや常套とも言えるものだが、ズシリと重い展開で引っ張っていった姫矢編とは異なり、どことなく爽やかな雰囲気を発散しているのが面白いところだ。

 さて、憐に関する謎は二話目にして早くも道標が用意された。それは「group P.P.」の文字、そして吉良沢の言う「プロメテの子」。「P.P.」の「P」は「プロメテ」との推測が成り立つが、それが真に何を表しているのかはまだ判然としない。ただ、吉良沢と憐が交わしていた会話からすれば、吉良沢と憐は同じ「group P.P.」の関係者であろうことが推測できる。また、吉良沢が見つめていた何かのメンバーリストでは、憐の名前の下に「MISSING」の文字が。憐は何かのメンバーだったが行方不明になっていたということだろうか。いずれにせよ、吉良沢と憐の関係が今後の注目ポイントとなるに違いない。

 今回は構成上、ナイトレイダーの活躍が存分に描かれたとは言い難いが、それでも孤門は突出した存在感を放っていた。姫矢との出会いと別れを経て成長した彼は、次のデュナミストである憐に関わるのだが、前デュナミストである姫矢との関係とは全く異にし、むしろ憐の兄貴的な(従兄と称していたが)キャラクターへと転身した。吉良沢-憐の関係とは別に、ここも注目していきたいところであり、爽やかなキャラクターを内包しつつも重いドラマに押しつぶされていた感のある孤門が、どのようにキャラクターを開花させていくかが楽しみだ。

 最後にウルトラマンについて言及しておきたい。ジュネッスブルーは、異なるデュナミストによって能力の相違が現れるという設定を見事に体現し、どちらかと言えばパワーファイター的な戦いを繰り広げた姫矢ウルトラマンとは違った、スピード戦法に長けたウルトラマンとして描かれている。「速い」という孤門のセリフもさることながら、アクションの組み立てとしてもアクロバティックな面を強調し、ハイスピード撮影の量感を損なうことなくスピード感を創出するという難しいシーン作りがハイレベルで成立しているのには驚きだ。これといった必殺技が見られなかったのは少し残念だが、次回予告でしっかり期待させているのが良い(笑)