第2話「夏の夜の夢」

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 今回は、ヒカルと美鈴の淡い関係に一歩踏み込んだお話。

 とはいえ、全体的にはホラーコメディのテイストが横溢しており、やはり「ウルトラゾーン」的な印象が強かったように思います。いわば、ウルトラマンの登場する、「ウルトラゾーン」のドラマパートといった処でしょうか。話の深みといったものにはあまり期待出来ないものの、ウルトラの諸要素(ウルトラ念力のエフェクトとか!)をショー的に再構築したジュブナイルとしては、なかなかよく出来ているのではないかと。

 クライマックスのギンガ登場に至るプロセスは、実は前回と構造が殆ど変わっておらず、あまりストーリー的に新鮮味がないのは、短期決戦シリーズにしては少々痛い処なのですが、前回ヒカルがギンガに変身出来た事の意味や、美鈴との秘密の共有に関する意識の発展に関しては、概ね丁寧な感触の描写があり、良かったと思います。

 今回はケムール人を登場させる事で、等身大と巨大化の双方で見せ場を作る工夫がありました。ケムール人の「素体」となった「追跡魔」は、こんなヤツいないだろと言いたくなるようなキャラクター造形で、ややテンションを下げられましたが...。まぁ、この「追跡魔」に関しては、狂った演技の凄味によって、いわゆる「ジャンキー」のリアリティといったものは醸し出されていたような気がします(笑)。

 興味深いのは、等身大戦を生身のヒカルでやっている事。

 前回、ヒカルが肉体的なダメージを被るのは、後にサンダーダランビアとなる廃棄業者の二人組による暴力でしたが、今回はケムール人の姿によるもの。投げられて掃除道具に激突したり、殴られたりと、結構な暴力描写なのが意外に恐ろしく、この辺りはウルトラとしては新しい感覚。むしろ、東映の特撮TVドラマに近いテイストになっています。

 ここで巧いのは、美鈴が奮起してヒカルのピンチを救う展開に繋げている事で、これにより、常に(しかも幼少の時から)守られるだけの存在だった美鈴が、ヒカルの戦う勇気をサポートする存在に変化したのを表現していました。ケムール人の「急所」がヒトの男性と共通していたのには笑ってしまいましたが。

 そのケムール人、「ウルトラゾーン」で何度も登場し、その独特な走り方がコミカルに強調されたのは記憶に新しい処。「ウルトラQ」に登場したオリジナルは、科学に対するエスプリを体現し、しかもホラーテイストに溢れた、文字通りの「怪人」でした。「ウルトラマン」ではメフィラス星人の傀儡(実は単なる虚像?)として数カットのみ登場。ちなみに「ウルトラマン」最終回に出現したゼットン星人はケムール人に酷似しており、かつての一部書籍ではケムール人と見なされていた事も。現在では、ゼットン星人自体のデザインがケムール人と完全に差別化され、別の宇宙人として扱われています。ゼットン星人のキャラクターが真に明確化したのは、「ウルトラマンマックス」からでしょうか。

 「ウルトラゾーン」で強調されたケムール人のコミカルさは、その善し悪しは別として本作でも存分に活きており、「追跡魔」の粘着質なキャラクターと相俟って面白い風味となりました。いわゆる「誘拐液」も健在で、生理的嫌悪感をも感じさせる演出は多分にホラーテイストですが、何となくコミカルな雰囲気に支配されているのは、ケムール人というキャラクターの時代を経た変化を如実に示しているように思います。

 巨大戦では、前回の「敵」であったサンダーダランビアを早速使用。その能力を既に理解した上で、戦略的に使おうとするヒカルの「知能」の高さにまず感心します。また、サンダーダランビアの能力は有効ではあったものの、ケムール人の素早さには翻弄されてしまう辺り、重量級の怪獣のデメリットまできちんと描いていて良い感触でした。勿論、「第一形態」である怪獣が不利でない限りギンガの出番はないわけですから、必ず「第一形態」が危機に陥る必要に迫られるわけで、今後、このような能力的な面での整合性を毎回見せられるかが見所と言えるでしょう。「ウルトライブ」の流れ自体は定番化していく筈なので、同じパターンに則った上でいかに変化をつけられるか、いかに納得させられるかが鍵になると思います。

 今回はナイトシーンとあって、電飾が従来より広い面積を占めるギンガにとっては良いアピールとなりました。「ウルトラマン」からして、第二話はバルタン星人との決戦がナイトシーンとなっており、そのオマージュと受け取る事も出来ます。残念ながら、全てのクリスタル状のパーツが電飾になっているわけではありませんが、あまり光らせすぎてもメリハリに欠けるので、頭と胸だけで充分でしょう。それにしても、美しい造形ですよね。

 また、ナイトシーンならではのメリットとして、セットの広さをあまり意識させないで済むという事が挙げられます。実際、前回よりも画面に奥行きが感じられましたし、高い解像度による「アラ」も露見しにくかった事が分かります。しかし、そのメリットをただ享受するだけに留まる事なく、様々な工夫が観られたのも特筆すべきポイントでしょう。

 まず、ミニチュアと実景(いわゆる本編パート)の合成が、殆ど合成マスク(CG合成の境界という意味で)を判別出来ない程巧みで、唸らされました。ケムール人が巨大化してヒカルと美鈴を踏みつけようとするシーンも、殆ど違和感なく観られる素晴らしさ。建造物のミニチュアは最小限の物量ながら、効果的な飾り込みによって高い効果を上げており、「手練の技」を見る事が出来ました。「低予算」とも揶揄される昨今のウルトラですが、創意工夫が見られる画面作りはやはり健在だと思います。

 巨大戦のクライマックスでは、何とケムール人を宇宙に投げ飛ばし、ギンガ自らもそれを追跡して打ち倒すという、これまでの地球を舞台としたウルトラでは類を見ない格好良さが炸裂! 空を「初めて」飛ぶシーンでは、いわゆる「シュワッ」と両手を挙げて飛ぶのではなく、フワリと、しかもスピーディに浮遊し、空気を蹴って大気圏を離脱するというアニメチックな演出が見られ、その格好良さを倍増させていました。美鈴の反応も良かったですよね。

 さて、ヒカルと美鈴に関してですが、この二人の関係性はウルトラでは非常に目新しいものだと思います。

 数年振りの再会なのに、既にお互いを意識しているというのは安直に見えはするものの、実は「再会」ってこんなものなのかも...と思わせる雰囲気作りはなかなか巧みで、今回、その印象をより一層強くしました。というのも、美鈴がヒカルの元を離れようとする一方で、いわばヒカルの「実家」である銀河神社のバイトを辞めようともしないその矛盾に、年頃ならではの掴み所のなさを感じ取れたからです。中でも二人の戸惑った表情を引き出す演出がいい!

 さらに、「秘密の共有」というくすぐったさが、これまた恋愛系ジュブナイルの雰囲気を倍加しているようです。これは防衛チームのあるシリーズではまず無理な話であり、本シリーズの狙い処が分かると思います。単なる特撮工数の削減という狙いも勿論あると思いますが、それ以上のメリットを確認しておくべきでしょう。

 次回は、予告を見る限り早速ケムール人を「使う」ようで、バルキー星人との等身大戦が見られるかも...?

 そして、今回初登場のレギュラーキャラクターである一条寺友也の動きも気になる処。