第4話「何のための仲間」

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 ジョーの主役回。と言いつつ、アイムにもスポットが当たっている、海賊戦隊のチームワークの有り様を示すエピソード。

 オリジナルヒーローのゲスト回に挟まれた格好となる今回。シリーズとしては、いわばメインディッシュを欠くとも受け取られかねませんが、なかなかどうして。良いエピソードでしたよ。

 考えて見れば、第2話なんかも今回と同様にゲストヒーローが登場していないわけで、そういったエピソードこそが、海賊戦隊のアイデンティティを明確にしているのだと、認識させられます。

 勿論、マニアが喜ぶネタもあって、よそ見を許さない工夫も。続きでは、テーマと小ネタを掘り下げます。


 今回は、各メンバーの掘り下げが少しだけ行われており、それぞれが親近感を持たせるような肉付けとなっています。

 まず全体としては、買出し当番が設けられているということ。この「当番制」というのは、子どもの世界でも大人の世界でも通用する概念であり、これまで、何となく得体の知れない存在だった海賊戦隊を、グッと視聴者に引き寄せる効果がありました。

 各メンバーでは、順番に行くと、ハカセが炊事に長けているという面が描写され、ここに「デンジマン」のデンジイエローの踏襲が見られます。デンジイエロー・黄山純は、純情で力持ち、頭脳明晰で料理がうまいというキャラクターであり、いわゆるキレンジャー的キャラクターの踏襲と脱却を試みた形跡があるのですが、ハカセのキャラクターには、この黄山の要素が多分に含まれるようです。

 ルカは、近年では「シンケンジャー」のシンケングリーン・谷千明の系譜でしょう。今回は特に「卑怯でなければ倒し甲斐がない」といった軽口もあれば、一方でメンバーに対する観察眼が鋭く、よく仲間達を信頼している様子が描写されていて、目に見えない絆や本音といった部分を、視聴者に分り易く示す存在である事が分かります。

 そして、今回のメインはジョーとアイムであり、ジョーの一見不可解(劇中の「海賊の流儀」としては妥当)な行動に、疑問を抱くアイムの姿を通して、海賊戦隊の在り方を示す構造になっていました。

 ジョーはアオレンジャーの正統継承系キャラでありながら、ケーキを作るのが得意という意外な面を持たせて親近感を付加していましたが、他のメンバーに比べれば極めてオーソドックス。鍛錬によって敵の攻撃を打ち破るという展開も実にオーソドックスでした。

 逆に、アイムは意外に仲間の事を理解していないキャラとして置かれ、彼女の出自をストーリーの展開を用いて巧く表現していました。印象で言えば、「海賊に身を寄せる場違いなお姫様」。セリフや出で立ちだけで表現するような底の浅いものではなく、展開によって浮き彫りにする辺りが見事だと思います。

 その上しかも、その場違いなお姫様を、皆がちゃんと「同志」だと認めている処が秀逸。ジョーの「邪魔だ」という言葉の裏に、ちゃんと信頼が垣間見られるのがいいのです。「目の前から消えろ」という事ではなく、「ちょっと放っておいてくれ」というニュアンスが巧く出ていたと思います。

 更に良かったのは、散々言い尽くされてきた「仲間」というものの在り方を、ちょっとシニカルに見せてくれた事。

 というのも、アイムの言う「一人より二人、二人より五人」という、「サンバルカン」のエンディングテーマのようなフレーズは、スーパー戦隊シリーズでは当たり前過ぎるテーマ。これをどう料理するのか、興味深く観ていましたが、まさか「任せる」という姿勢を貫くとは。

 巧いですね。実にカラッとしている。しかも、精神主義ではなく、あくまで数には数、腕には腕という物理的なアドバンテージを重視していて、正にアクションがストーリーを語る典型になっていたのがいいです。この辺りは、職業系戦隊に近い気がします。

 恒例のネタですが、ゴーカイチェンジは、ゲキレンジャーとデカレンジャーが登場。ゲキレンジャーは特にゲキバイオレットの足技がオリジナルを尊重していていい感じ。デカレンジャーは、次回への引きでしょうか。ただ、今回のゴーカイチェンジは、ややネタとしては弱かったように思います。

 むしろ、冒頭にてルカの取り出したレンジャーキーが、ビッグワンとバトルコサックだったというのが、マニアとしてはくすぐられました。バトルコサックは、スーパー戦隊の中では空前絶後の「オレンジ」なので、レンジャーキーの中に紛れていても、一際目立つ事間違いなし。あぁ、カキ氷食いたいなぁ(笑)。

 そして、極め付きのネタは、買出しシーンでビルのテナント看板が映るカット。遊び過ぎです(笑)。

驚愕のテナント群

中華食堂 山海閣恐竜やscrtc
一貫献上 金の寿司TOMORROW RESEARCH和菓子屋 芋長
忍 CrepeGAME リリバビタスナック・ゴン

 とまぁ、こんな風になっていますが、この内、山海閣とリリバビタ以外は、私もすぐに分かりました。山海閣とリリバビタについては、色々と調べてみましたが、実際に映像を見られなかったので、完璧に正解かどうかは保留とします。ネタ元は以下の通り。

中華食堂 山海閣
ダイレンジャーで天火星・亮が働いている中華料理店?
恐竜や
言わずと知れた「アバレンジャー」のお店。
scrtc
「スクラッチ」は「ゲキレンジャー」のメンバーが所属するスポーツ系メーカー。
一貫献上 金の寿司
「シンケンジャー」の梅盛源太がシンケンゴールドで寿司職人なので。
TOMORROW RESEARCH
「タイムレンジャー」が当面の生活費を稼ぐ為に立ち上げた、何でも屋。
和菓子屋 芋長
「カーレンジャー」で敵の巨大化に使われた芋羊羹の製造元。腐った芋羊羹が地球を救った?
忍 Crepe
「カクレンジャー」はクレープ屋台を営みながら旅をしていたので。
GAME リリバビタ
「メガレンジャー」でメガレッド・伊達健太が常連だったゲームセンター?
スナック・ゴン
言わずと知れた「ゴレンジャー」のお店。黒十字軍にメチャクチャにされ、後に「パーラー・ゴン」に改装。

 次回はデカレンジャー編です。ドギー、バン、ジャスミンが出ます!