Space.38「おっタマげ!危機9連発!」

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 ここに来てコメディ色全開のバラエティ編に突入! やはり「キュウレンジャー」は、シリアスムードよりもコミカルなエピソードの方が光って見えるのは私だけでしょうか。

 舞台はケフェウス座系とペルセウス座系へ。今回はケフェウス座系がメインステージとなり、ラッキーが向かったペルセウス座系は次回のメイン。従って、ラッキーが物語の裏側で動いているという、珍しい回にもなりました。

 「少林寺三十六房」を元ネタにした「九林寺九房」を舞台に、ツルギ率いる個性派チームが挑みます。メインで活躍しまくるのはツルギですが、拗ねたショウ・ロンポーの立ち振る舞いが真のメイン。とにかく随所でクスッと笑わせてくれました。

デスゴン

 モチーフはいわゆる「デブゴン」。ある年代以上にとっては言わずと知れたサモ・ハン・キンポー師であります。一大ブームを巻き起こしたカンフー映画に欠かせない人物として、俳優、監督、プロデューサー、あらゆる面でその能力を遺憾なく発揮した才人。「ゲキレンジャー」でも、マスター・エレハン・キンポーとしてオマージュが捧げられているのは記憶に残るところです。

 かつてツルギが、クエルボと共にケフェウス座系の戦士をスカウトするために訪れた「九林寺九房」。現在はケフェウス座系カローのデスゴンによって支配されているという設定です。その「九林寺九房」を解放することが救世主の使命...というのが本流のはずですが、何故かデスゴンが仕掛ける9つの試練に挑むことになり、その試練がまたことごとくコミカルに描かれるため、何のための試練なのか、にわかには理解不能なところが素晴らしい。これぞ不条理コメディの醍醐味です。

 デスゴンの能力の一つとして、ディスクに生物を閉じ込めてコピーを作り出す(ただし中身はインダベー)というものがあります。前回に続いてまたコピーかよというツッコミが聞こえてきそうで、ややネタ切れ感が拭えないのは寂しいところですが、話の流れとしては仕方ないですね。ガル、ナーガ、ハミィ、ラプターがこの能力によって一時的に囚われの身となり、コピーを作られてしまいますが、ショウ・ロンポーの見事な機転が状況を打開することになります。それについては後述。

 このデスゴン、カンフー映画に登場する細かい動きを高い水準で再現しており、特にクライマックスでのリュウコマンダーとのカンフー対決では、その「手数」の多さで往年のカンフー映画の醍醐味を見事再現。「ダイレンジャー」や「ゲキレンジャー」でもあまりお目にかかれなかった、全体をスタティックに、細部をダイナミックに演出する感覚を、巧く蘇らせていて胸が熱くなりました。

 ちなみにそのクライマックスのアクションでは、メンバーそれぞれに相応しい(?)キュータマを用いた拳法が披露され、ハミィは猫拳(ヤマネコキュータマ)、ナーガは蛇拳(ミズヘビキュータマ)、ラプターは鶴拳(ツルキュータマ)、ガルは犬拳(オオイヌキュータマとコイヌキュータマ)といった具合に見所を創出。この中でもガルは狼と大して変わらないと自虐する犬拳を与えられ、そのアクション自体がギャグに。さらにコイヌキュータマでは単にクンクンと甘える始末で、ガルの使い処を熟知した制作陣に喝采を送りたいですね。

九つの試練

 確かに「試練」ではありますが、不思議コメディシリーズっぽさが炸裂するナンセンスギャグの連発。基本的に軽く次々に突破していくメンバーたちが、そのテンポの良さも相俟って爽快そのものです。

 最初は1分以内にインダベーを99体倒すという、「試練」という言葉に合致する内容。何故か余裕をかましているショウ・ロンポーが途中で腰を痛め、99体中5体しか倒していないという結果が可笑しい。一方でツルギは、一気に数十体を撃破する凄まじい活躍を見せ、ショウ・ロンポーとの対比を鮮やかにしています。他のメンバーもそれなりの成果を出している中、ショウ・ロンポーだけが1桁止まりというのが笑えます。

 次の試練からはメンバーをシャッフルして次々に突破。

 腹筋9999回という試練は、ツルギとラプターのペアでしたが、ツルギが肉体美を披露しつつ単独で易々と制覇。

 インダベーを満足させる料理を作るという試練は、スパーダの助言を得つつハミィとガルが挑戦して突破。外部(スパーダ)に頼っちゃダメだろうというツッコミはこの際ナシで。

 「だるまさんが転んだ」に挑むという試練は、ナーガとショウ・ロンポーが突破。ショウ・ロンポーはここでも腰に問題を抱えていましたが、ナーガの金縛りによって事なきを得ます。しかし、明らかに二人とも動いている気がしてならないのですが...。

 ダンスの試練は全員で。それぞれのゴージャスな衣装が見所の一つ。ツルギは腹筋の試練に続いて上半身裸の状態。登場当初からかなりの脱ぎたがりであることが分かります。

 熱い温泉に入って我慢するという試練は、キュウレンジャーの誇る二大美女ハミィとラプターが担当。ハミィの入浴シーンが前週での予告にて大々的にフィーチュアされていて、世の男性陣の期待を煽りましたが、実際はシーンの尺が短くてガッカリしたとかしないとか(笑)。ラプターは、あのスーツのままで入って大丈夫だったのか気になるところです。

 変顔の試練ではガルは瞬殺され、ナーガが快勝するという展開。「笑わないナーガ」というキャラクターを巧く活かすのかと思いきや、本当に変顔を披露して視聴者の度肝を抜きました。山崎さん、素晴らしいです!

 クレー射撃のような試練は、ツルギとショウ・ロンポーが担当。腰の影響で全く良いところのないショウ・ロンポーに対し、ツルギが百発百中の腕前で軽々クリアします。いよいよショウ・ロンポーの悩み度もMAXに。

 最後は、前段で言及したコピーとの相討ち試練となり、ここでは手を出せないツルギに対してショウ・ロンポーがグッと前に出て格好良いところを見せてくれました。

 以上、賑やかでコミカルな試練の数々。実に軽いテイストでしたが、戦隊のギャグ編らしさは全開でしたね。

リーダー・ツルギと司令・ショウ・ロンポー

 今回のチーム編成はツルギの采配。そして、各試練での活躍も折り紙付きの素晴らしさ。一方で、元来の司令であるショウ・ロンポーは「空気」と自虐するほど存在感が薄くなっていました。ラッキーが王となり(ただし、キュウレンジャーである以上、キュウレンジャーの一員である域を逸脱しない決意をしているところが良い)、ツルギがその天才的な頭脳と前大戦の経験値を発揮して見事な指揮を執ることで、ショウ・ロンポーのリーダーとしての存在感は益々薄くなってきたというわけです。

 しかし、元々ショウ・ロンポーは、いい加減な采配と運の良さ、時折見せる鋭い判断といった絶妙な人物像で構築されているため、リーダーに相応しい人物像というよりは、リーダーの席に座りたがるお調子者な年長者という感覚。そのため、ツルギと比してリーダーの資質に劣るという構図を見せられても違和感はなく、むしろ「そうだよね」と納得してしまうところが多分にあり、そこが今回の笑いどころでもあります。

 一方で、ツルギよりもずっと以前から現行の救世主たちと関わってきたのもショウ・ロンポー。彼が救世主を見出し、そして色々言われつつも統率してきたことに異論を挟む余地はありません。対立の構図から和解を経たツルギとは違い、それぞれの個性を熟知し、その独特なお調子者のキャラクターによってムードを作り出し、経験に基づく的確な助言をしてきたこと、それこそがショウ・ロンポーならではのアドバンテージとなります。

 それが最大限に発揮されたのが今回。ツルギはショウ・ロンポーと自らの能力差についてのフォローを敢えて避け、自分にない能力で活躍することをショウ・ロンポーに望みます。かつてクエルボに同様の助言をしたという回想シーンがこれまた巧いところ。年長者二人の絶妙なポジショニングが、非常にアダルトな雰囲気を醸し出していて素晴らしいです。にしても、司令に先駆者の立場で助言するんですから、やっぱりツルギこそがリーダーですな(笑)。

 そしてその後が実にショウ・ロンポーらしいのですが、件のコピーを見破るくだりが実に見事。まず、ガルとナーガのコピーが普段使わない呼称である「ショウ司令」の名で呼んだ一瞬の違和感が気付きとなり、大胆にも命乞いをし始めるという行動に出ます。それを見てディスク内に閉じ込められたラプターは激怒。しかしコピーのラプターは真逆の反応。これで偽物であることを確信したショウ・ロンポーは、見事にコピーを暴露し囚われたメンバーを解放! この逆転劇の華麗さは、ショウ・ロンポーの持つ絶妙な格好良さそのものでしたね。

 その後の戦闘では、終始リーダーシップを発揮。正にショウ・ロンポー無双といった感じで格好良かったですね。

 ちなみに、事件解決後に登場した大僧正は、日本が誇る超絶ベテラン女形スーツアクター、蜂須賀祐一さん! 今シーズンではアキャンバーを担当されていました。まさかの登場に吃驚しましたね。

次回

 今回はカローに昇格したメカマーダッコが登場し、マーダッコを改造した「博士」の声がクレジットにより、うじきつよしさんであることも判明! そして予告ではうじきさん本人がまたまた登場とあって、アントン博士祭りになりそうです。チャンプに暴走する仕組みを埋め込んだりと、狡猾そのもののアントン博士。果たして、チャンプの回想に登場する「心ある」アントン博士とはどういう関係にあるのでしょうか。

 うじきさんの登場を希望しまくっていたので、嬉しい采配ですね! 次回もかなりコミカルで派手なバラエティ編になりそうですので楽しみです。