手裏剣戦隊ニンニンジャー VS 仮面ライダードライブ 春休み合体1時間スペシャル

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 昨年度に続いて、今年度も戦隊とライダーのコラボレーションによるスペシャルコンテンツが放映されました。

 昨年度同様、映画「ライダー3号」のプロモーションを兼ねたもので、映画の重要な要素である「歴史改変」、「時空歪曲」を紹介した前哨戦的な意味合いを持っています(私自身は映画は未見です)。

 映画は恐らくライダーが中心でニンニンジャーはゲスト扱い。それを意識したのか、今回のスペシャルは必然的に戦隊寄りの視点になっていたように思います。勿論、双方に見せ場があって、「ドライブ」のエピソードとして見ても充分な仕上がり。「ドライブ」の世界の常識が通用しない忍者に翻弄される進ノ介が実に可笑しく、半年分先輩のヒーローとして、その存在感を存分に発揮していました。

 今回はとりあえず本流ではないので、軽めに。

時系列の不整合??

 「ニンニンジャー」に関しては、UFOマルが登場している事から、先週オンエア分の後である事は明らか。一方の「ドライブ」では、剛が仮面ライダーマッハに何事もなく変身していたので、先週オンエア分(マッハドライバー炎を破壊されている)とは齟齬が生じています。

 番外編と言ってしまえばそれまでですが、「ニンニンジャー」におけるガジェットの整合性、「ドライブ」におけるキャラクター配置の整合性(特にロイミュード側。チェイスが登場しない等)をみる限り、本流に影響しないストーリーという意味での番外編ではあっても、一応本流の時系列には無理のない形で組み込まれる形式だったのではないでしょうか。

 この、マッハ登場の不整合には明確な原因と思われるものがあります。それは「ニンニンジャー」が一週遅れで開始された事。もし、一週早くこのスペシャルが放映されていたら、色々と納得出来るわけです。

 「ニンニンジャー」は、前述のようにUFOマルが巨大戦における重要なガジェットとなっている為、第5話の後でないとどうにも説明が出来ないわけで、前倒しは困難だったものと思われます。それにより、本来映画公開とジャストなタイミング(公開翌日)だったものが、翌週というやや中途半端なタイミングになってしまいました。マッハは、先週のタイミングであれば何の問題もなく変身可能でしたから、割を食ってしまったと考えられます。とりあえずは進ノ介が殆どのシーンでメインを張っていましたから、それ程違和感がなかったのは救いでしたね。「ドライブ」に、連続性を致命的に壊してしまうような要素がなくて幸いでした。

ニンニンジャー

 ニチアサのタイムスケジュールに配慮したのか、前半はほぼ「ニンニンジャー」のフォーマットに則って展開していました。

 十六夜九衛門が登場し、妖怪ブルブルが出現。ニンニンジャーとのバトルが開始されて、いわゆるAパートのウォーミングアップをちゃんと見せていました。その後、進ノ介が乱入し(劇中設定はその逆で、ニンニンジャーが来訪者ですが)、異質な世界観を持つ進ノ介と関わり合う事で、この時点での天晴のキャラクター性を確認するような構成になっていました。

 「ニンニンジャー」は忍タリティというタームが示すように、現状、一話ごとに成長を確認していく面を持っていますが、今回は番外編という事もあって、成長は一旦停止。しかしながら、天晴の現状での成長振りと、その天性の能力を魅力的に見せる絶好の機会だったのは間違いありません。

 余裕ある表情で忍術を使いこなしたり、自信満々な割には途方に暮れていたり、実に魅力的な天晴像が画面に横溢。これは見事でしたね。対する進ノ介は、この時点では天晴のカウンターとして作用しており、主に「ニンニンジャー」の世界観へのツッコミ役としてコメディリリーフに回っています。

 ちなみに、巨大戦をちゃんと前半30分のクライマックスに配置しており、その辺りでも「ニンニンジャー」のフォーマットを踏襲していましたね。どちらかのフォーマットを1時間に引き延ばすのではなく、30分毎に割って見せたのは巧いと思います。

 なお、キャラクターが多いので、八雲達は基本的に脇役に徹していました。同様に、旋風や好天もチョイ役に近い登場でしたが、この二人は異様な存在感でしたね(笑)。特に「片岡鶴太郎 VS 笹野高史」のシーンはそのインパクトたるや凄まじいものがありました。

仮面ライダードライブ

 後半30分は、「仮面ライダードライブ」のターンと言えます。

 当ブログは「ドライブ」が主旨ではないので詳細は避けますが、この後半30分はちゃんと「ドライブ」していて、進ノ介の心情、信条、推理といった要素がこれでもかと盛り込まれていました。本流では刑事モノのフォーマットに則り、事件こそが中心で、どちらかと言えば狂言回しの役割を負う事が多い進ノ介ですが、今回は刑事の立場を放棄してでも天晴を信用するという熱さを見せてくれます。

 なお、本スペシャルは基本的に「ドライブ」の世界観に「ニンニンジャー」のキャラクターが侵入してきたという構造で展開されているので、「ドライブ」の立場から「ニンニンジャー」を説明するという構成になっており、「ドライブ」の持つ不思議なアクチュアリティ、「ニンニンジャー」の良い意味での荒唐無稽さ、それぞれが際立つものとなりました。改めて、二者の魅力を確認出来たのではないかと思います。

ショッカー

 十六夜九衛門は「暗躍」という言葉が似合うキャラクターですが、今回もショッカーと利害が一致していたという理由で「暗躍」しています。絶妙な配置ですね。

 ショッカーに関しては、「ディケイド」以来定番化しているので最早何の新鮮味もないのですが、ヒルカメレオンとカメバズーカという、絶妙なのか微妙なのかという線のチョイスには嬉しさを隠せませんでした(笑)。

 また、キーマンとしてディー博士なる人物が登場。これは本郷猛を変身不能にしたゲルショッカー科学陣のエリートを元にしたキャラクター。何とマニアックな...。演じていたのは岸祐二さんで、言わずと知れたレッドレーサーです。今回は(お得意の)ミュージカルのような独特の口調で存在感をアピール。素晴らしい悪役になりました。

 ショッカー首領は、「昭和 VS 平成」で驚きの声帯模写を披露した関智一さんが担当。今は亡き納谷悟朗さんの声に可能な限り似せる技術は、本当に凄いですね。ディー博士はロイミュードで妖怪でショッカー首領?? で、説明を受けても即座には理解し損ないそうなキャラクターでしたが、岸さんと関さんの迫力でどうでも良くなりました(笑)。

仮面ライダー3号

 映画のプロモーションでもあるので、映画のメインキャラクターである3号が登場します。ちゃんと及川さんの声だったので、それだけでも感心していたのですが、何とエピローグでマスクを取って喋るシーンがあってビックリ。いやぁ、実に楽しそうに(=気を入れて)演じていらっしゃるのが分かります。その後、エンドクレジットでは及川さんの歌が流れるので、最後の最後で及川さんが食っちゃった格好に(笑)。

 まぁ、この3号については、もうちょっと1号に近いシンプルなディテールでも良かったんじゃないかとか、色々言いたい事もあるのですが、単純に動いている処が格好良かったからいいです。

雑感

 というわけで、今回のスペシャルはかなり面白かったと思うんですが、どうも映画の評判が...。ライダー大戦もそろそろ疲弊してきているのでしょうか。まぁ、私は色々言われた「昭和 VS 平成」も(細かい事はいいんだよ、なノリで)結構楽しめましたし、今回の映画も楽しめるんじゃないかと思っているのですが。

 昭和ライダーにスポットが当たるのは、複雑な心境を喚起させるとはいえ嬉しい事ですし、これからも期待したいと思います。

 あ、いつの間にか「ニンニンジャー」じゃなくてライダーの感想になってしまいました^^; すみません。次回は風花編?!