第20駅「笑顔は危険」

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 明の感情にスポットを当てたギャグ編。ギャグ編とはいえ、全般的にスベっている感は否めず、本格的なギャグ編として観るにはやや苦しかったように思います(笑)。

 前回、明というキャラクターが感情移入を拒んでいるという話をしましたが、今回に至ってもそれは貫徹されていました。単なる朴念仁ではない事が判明したにせよ、(ライト達を含む)普通の人とはあまりに感情の「きっかけ」が違う為、やっぱり感情移入はし難い。それ故に外から眺めていると楽しい。そういうキャラクターとして成立していると思います。


 今回の見所としては、レギュラー陣の多彩な「コスプレ」と、車掌さんのネタでしょう。

 最初の「コスプレ」は、ビジュアルの意外性で笑わせるという主旨で行われ、ライトはプリンセス(?)、トカッチはチャイナドレスの美女(?)、ミオは宴会オヤジ(...)、ヒカリはメイド(!)、カグラはバカ殿(!)。括弧内が私の感想です(笑)。

 それにしても、男性陣の女装姿は何故か完成度が異様に高く、妙に似合っている辺りが可笑しい。ただ、あまりにフィットし過ぎていて笑いよりも感心の方が勝ってしまったのはご愛敬。皆さん、やっぱり美形で線が細い感じなんでしょうね。明が女装したら、多分そのギャップで凄まじい事になりそうですが...。

 女性陣の方は、男装というよりはむしろキャラクターのコスプレに近い感覚でした。ミオは本人とかなりのギャップを感じさせる扮装でしたが、それでも可愛いのは反則。カグラのバカ殿メイクは、森高さんのノリの良さを加味したとしても、よくぞやったという感じですね。さらに劇中では、ノリノリでのなりきり継続をミオに抑えられるというくだりがあり、アドリブ感覚の処理が自然で良かったです。


 続いて、特訓と称してトレーニングウェアになるシーンが登場。こちらは、それぞれのメインカラーでコーディネイトしています。

 基礎体力作りとして腹筋トレーニングを行うシーンでは、トカッチとカグラが早々に脱落寸前であるといった、キャラクター設定に基づく細かい描写が光ります。この特訓シーンは何故か本編中でも突出したスベり具合で、まぁそれはわざとやっているんですけれども、そのスベり具合が逆に車掌さんのギャグを際立たせるという、やけに職人芸的な演出に唸らされます。車掌さんについては後述!
 そして、特訓の成果を試すべく、コントや漫才に挑戦する五人。

 ライト、ヒカリ、カグラはコントの内容に合致した衣装で登場。コントの内容は意外とカッチリしたもので、テンポやリズム感もなかなかのものでしたが、演出で寒い反応を付加されていて、少々可哀想...。カグラの衣装は、エンディングで披露しているレインボーライン車掌の制服ですが、改めてみると機能的でスッキリしたデザインでありながら、キュートでもあるという秀逸さが感じられます。今度の劇場版におけるレディなるキャラクターの衣装でもありますね。

 トカッチとミオのコンビによる漫才は、先のコントとは違ってぎこちない内容になっており、こちらはこちらでその寒さを楽しむ趣向となっています。ただ、それなりに漫才の呼吸を練習した痕跡が見え、さすがは役者だなぁ...と感心する要素もありました。衣装は「宴会芸での漫才」に近い派手に過ぎるものでしたが、この二人だと妙に絵になるのが面白いですね。

 さて、車掌さんですが、前述の通り、特訓シーンは関根さんのネタを楽しむという目的の為だけに存在しているのではないか...と思わせるような構成。

 いきなり登場したのは、カマキリ拳法!

 完全にお子様置いてけぼり。「トッキュウジャー」の文脈からすると、本当に何の事なのかさっぱり分からないネタであります...。「カックラキン」なんて、親世代でもギリギリ分からないかもですよ(笑)。

 次は謎のオネェ(元ネタは恐らく「おすぎとピーコ」)を経て、輪島功一さんのモノマネ。これは一時期、輪島さんご本人が頻繁にテレビに出演していた時期、特に高い頻度で披露されていたネタ。数ある関根さんのレパートリーの中でも、特に似ているのではないかと思われるものです。サンドバッグがあったのでもしかして...と思っていたらそのものズバリ過ぎて笑ってしまいました。これも絶対に特定の世代にしか通じないと思います。

 この賑やかな特訓シーンは、もう完全に関根さんの独壇場でした。相変わらずメインターゲットとその親世代に伝わるかどうかは度外視! そこがいいんです(←ネタが分かる人の意見)。

 その後、もう終わりかと思っていたら、今度は黒子の格好で登場! これは「欽ちゃんのどこまでやるの?」で小堺一機さんと出演した人気コーナー・「クロ子とグレ子」が元ネタ。残念ながらチケット君は黒子の扮装でしたが、そこまでやってしまうと本当に物語から乖離してしまうので、仕方ないですねぇ。無論、ここで車掌さんが黒子に扮する必然性もまるっきりないわけでして、全ては分かる人だけに伝えるネタ仕込みなわけです(←ネタが分かる人の意見)。

 ところで、明の方はというと、天然系で笑いを取る方向性を見出していました。

 元々、ビルドレッシャーの超改造自体が可笑しいのは言わずもがな。今回は、ハーモニカを紛失したというくだりから、いきなりリコーダーで例の曲を吹きながら登場し、ライト達、シャドーの連中、そして我々の度肝を抜きました。曲の終わりに音を外すという、ド定番のギャグは(私としては関根さんを除いて)今回最高の盛り上がりを見せたシーン。明の風貌とリコーダーが全く似合わない可笑しさに加え、オチがド定番とくれば笑わないわけにもいかないというものです。

 また、「笑った処を見た事がない」という設定から、「笑わない男」というイメージを作り上げられている明ですが、実はそれがミスリードだった事が分かる辺りも秀逸。猫が大好きで表情が緩むという設定もまた、ギャップの為せる技です。結局、猫を手放す羽目になった時に、いつもの明の表情に戻るシーンも、笑いを喚起。今回は劇中共々、明が笑いの中心にありました(私としては関根さんを中心に据えたい)。

 シャドー側は、冒頭にグリッタ嬢とシュバルツの企みを完全にゼットが承知しているという、極めてサスペンスフルかつシリアスなシチュエーションを擁しながらも、ジャックインザボックスシャドーの仕掛けによってシュバルツの鼻に花が咲くという、これまたド定番ギャグが披露され、笑いの一つのクライマックスを形成してしまいました。シャドーの中では各人の思惑が散り散りに進行していく為、非常に重厚で見応えがありますね。次回はまたグリッタ嬢にスポットが当たるようなので、楽しみです。ミオファンとしても見逃せない趣向があるようですね!