第42駅「君に届く言葉」

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 クリスマス編で一旦のクライマックスを展開したので、今回は順当に総集編的な色合いを持つ年末総括編となりました。

 総集編のような趣向では、過去の映像をバックにメンバーが喋り倒すというパターンが多く、それはそれで番外編っぽさも出て来て面白いのですが、今回はクリスマス編で昴ヶ浜の状況が判明した事もあり、その感情を引き摺ってやや暗めのトーンに。年末でここまでトーンを落としていいものかとビックリしましたが、終盤は半ば無理矢理盛り上げるバラエティ編と化し、ある意味「トッキュウジャー」の特徴を浮き彫りにしてしまったようでもあります。

 今回のメインテーマは、イマジネーションさえあれば、昴ヶ浜に居る肉親に思いが届くというもの。

 そのテーマを、手紙を書くという行為で表現し、手紙の内容を近況報告、いわば「振り返り」とする事で総集編としても機能させています。手紙であるが故に、各個の感情をも乗り、そこにドラマを構築する隙を作っているわけです。この処理は巧いですね。

 総集編という側面で捉えてみると、単なる名場面集どころか印象的な「カット」のチラ見せをつなぎ合わせるという感覚で、実はあまり充実していません。逆にロボ系は異様に充実しているという商魂逞しさ(笑)。面白いのは、過去シーンのよりもむしろ、トカッチとミオのドラマが優先されている事。なんと、回想シーンをわざわざ新撮しています。

 特にミオに関しては、父親像が非常に具体的に示されており、彼女の利他的な正義感の源流が、この温厚で真面目そうな警察官である父親であろう事が判明するわけです。

 その利他的に過ぎるミオを見かねたトカッチが、もう少し自分の感情を優先させるよう諫める...というのが、今回のドラマ部の本流となり、そのドラマパートが、しっとりとした情感を余計に盛り上げています。そこが、年末編にしては暗いという印象の要因になっているようですね。

 当然、トカッチがミオに対して心配以上の感情を抱いているのは周知の通り。従って、いわゆる恋愛モノとしての側面も、微量ですが盛り込まれる事となりました。内面がまだ子供という「仕掛け」があるので、二人の恋模様(?)も実に淡〜いものとして描写されており、ググッと進展するといったような事はないのですが、実に微笑ましいですね。

 結局、ミオはトカッチに自分の本当の感情を吐露する事になります。このシーンでは、堰を切ったように涙を流し始めるという梨里杏さんの芝居が実に素晴らしく、グイッと一気に感情移入させられます。一方もどかしいのはトカッチで、彼の不器用さが全開になっており(おにぎりは覿面でしたが・笑)、そのもどかしい芝居もまた、平牧さんの巧さ。恐らく、メンバーの中ではトップであろう演技力を持つ二人が魅せる情感たっぷりのシーンには、最も引き込まれましたね。

 ただ、トカッチの言う「自分を優先する事が、結果的に他者の為にもなる」といった論理は、かなり歪曲した告白だとも解釈出来、実際にミオはグリッタとシュバルツの一件からそういう解釈をして、トカッチの気持ちを察したように見えました。エピローグでは、二人して赤面しまくるという可愛らしいシーンが用意されていて、その解釈を裏付けています。

 一応、本当に一応ですけど、ちゃんと進展してますな(笑)。ちなみに、ミオの晴れ着も素晴らしかった!

 それと、ゼットの闇がライトをゾットとさせるという、意味深長カットも挿入されましたね。こういう小ネタ伏線を入れてくる辺りが実に姑息(褒め言葉)。最終編でさらに何か大仕掛けがありそうですねぇ。

 さて、他のパートは完全にバラエティ編の体裁。

 車掌さんは単なる物真似だけでは飽き足らず、とうとうシーンの繋がりさえも超越し、関根さんの持ちネタである大滝秀治さんのメイクを施して登場。久々に「つまらん!」を聞けて幸せでした。

 忘年会と称して盛り上げ役を任命された明の、これまた荒唐無稽なコスプレも目の保養(笑)。残念ながら、あまりフィーチュアされずに終わってしまいましたが、暗〜いトーンの中でキラキラしている明の違和感たるや凄まじいもので、前半の「違和感」として激しく機能していました。

 後半には、レインボーライン保線員のバンドと称して、主題歌を担当するメンバーが集結。これも荒唐無稽ではあるのですが、一応ストーリー的にはなるべく無理のない形で説明されている辺りが逆に笑えます。個人的にはドラムの川口千里さんに衝撃を受けました。こんなに若い子だったとは! あと、キャラ的に弾けきれないヒカリにもちょっと笑いました。

 というわけで、今年もありがとうございました。

 今回から「ニンニンジャー」のCMが入ってきて、にわかに年度替わりを感じる事となりましたが、来年はまず「トッキュウジャー」から始まりますので、引き続きよろしくお願い致します。