幻の「仮面ライダー3号」なるキャラクターも登場し、急激にクローズアップされている黎明期ライダーですが、その好機を逃すまいと4月1日に公開されたウェブ限定動画シリーズが、この「仮面ライダー秘史 ~MASKED HISTORICA~」です。

 「仮面ライダーディケイド」以来、歴代ライダーとしてオリジナルキャストに登場して頂くか否かという問題が常に付きまとい、いわゆる「ライダー大戦」シリーズでは、オリジナルキャストを起用する手法が確立されつつありますが、やはり契約的に、あるいは物理的にキャスティング不可能な場合もあり、その辺りの解決法は未だ模索中に思います。

 しかし今回の「秘史」は、一つのソリューションを提示してみせる、興味深い手法を用いて「昭和ライダー」の活躍を見せています。

 それは…。



 再現VTR形式を採ったという事。

 これは巧いと思いましたね。

 例えばつまり、宮内洋さんご本人が映像に登場せずとも、V3本放映当時を別の青年キャストの起用によって「再現」してしまう…という発想。これにより、「風見志郎=宮内洋」の図式を保ったまま、映像上はV3本放映当時の様子を別キャストが演じる…という事が出来るわけですね。勿論、「証言」という形でオリジナルキャストのナレーションを可能な限りフィーチュアしていますから、より「本物」という意識を強調したものに仕上がっています。

 内容は、マニアが従来より突きまくってきた重箱の隅に応えるという、非常にコアな内容。そのラインナップには驚きを通り越して唖然とします。

 まずは、「立花レーシング秘史」。

 立花藤兵衛がどうやって本郷猛と出会ったのかという顛末を描きます。

 興味深いのは、サイクロン号のエンブレムに関するトピック。何故サイクロン号に立花レーシングのシンボルマークが描かれていたのか、そして何故、一文字隼人の変身ベルトにそのマークが描かれているのか、その謎が明らかにされます。ここでは詳細に触れませんが、そこには藤兵衛と緑川博士、ショッカー科学陣の意外な関係が…。のっけから驚かされます。

 続いて、「一文字ライダー誕生秘史」。

 前章のベルトのマークの件から、ダイレクトに繋がっているのが本章。一文字隼人がショッカーに拉致されたのは何故か、そして、トカゲロンの作戦を阻止した本郷猛が、その後いかようにして一文字隼人を救出したのか、その辺りが語られます。

 実はベルトのマークが一文字隼人と本郷猛、そしてショッカーを繋ぐキーになっていた??

 次は「1号2号・パワーアップ秘史」。

 再改造なのか鍛錬によるパワーアップなのか、はたまた考えてはいけないのか。色々な説のある1号のライトカラーへのリニューアルですが、遂にその謎が明らかにされるという一編。

 一文字隼人に代わり、再び日本の守りに就くこととなった本郷猛。しかし、ギルガラス戦での一文字隼人との共同戦線直後、二人は重大な事件に遭遇する事になり…というもの。本郷猛が一文字隼人の旅立ちを見送った空港のシーンでは、実は既に二人共パワーアップを果たした後だったという、衝撃の事実が明かされます。そのパワーアップのきっかけとなった「事件」。それがサスペンスフルに描かれます。

 ここまでが「仮面ライダー」編。続いて「V3」編に移ります。

 「V3・26の秘密」。

 本編中ではついぞ語られなかった26の秘密。ここでは「秘史」ではなく「秘密」と題して、その能力の全てが最新の技術で映像化されます。

 次は「デストロン科学チーフ・結城丈二秘史」。

 本編では、「不遇な助手時代にデストロン首領に拾われた」と吐露していた結城丈二。ピュアで有り過ぎるが故の過ちという観点で、そのキャラクターが活写されていましたが、ここでは類い稀なる頭脳派である結城丈二が、何故デストロンを平和主義団体と信じていたのか、その謎が解かれます。

 首領の詭弁、結城丈二がデストロンに貢献した驚愕の研究内容、そして風見志郎との浅からぬ因縁に言及される、ミステリータッチのドキュメンタリーです。

 そして、「佐久間ケン・デストロンハンター秘史」。

 風見志郎の弟分として、滝和也とは異なるポジションで活躍するものの、不遇なキャラクターとなった佐久間ケン。デストロンハンターとは何だったのか、また何故突如姿を消したのかが判明するエピソードです。

 アンチショッカー同盟との関係、キバ男爵の真の目的、インターポールの懸命の捜査、キバ一族とツバサ一族がデストロンと結託する以前に画策していた意外な陰謀等、全編で最もアクション要素の高い一編になっています。

 続いて、「ライダーマン・復活の秘密」。

 ここでも「秘密」と題されていますが、「26の秘密」どころではない昭和ライダー最大の謎。それがライダーマン復活に関するトピックです。プルトンロケットを自ら操縦・爆破して虚空に散ったライダーマン。しかし、次作「仮面ライダーX」では「どっこい生きてた」わけで、何故あの絶望的な状況から生還できたのか、マニアの間でも議論され続けていました。ここでは、遂にその謎が明らかとなります。

 爆破の瞬間、ライダーマンは死を覚悟しましたが、空中での自爆を想定していない設計だった為にコクピットは完全破壊を免れます。海上に落下した彼は、神敬太郎と名乗る学者に救助され…という展開。生命維持の危機にある彼を、研究半ばのカイゾーグ技術を用いて蘇生させたのは、何とXライダーの父だった!

 その後のライダーマンが、歴代ライダーと遜色ない能力を発揮しているのは、ライダーマンが「プロトカイゾーグ」だから(チューン不足の能力については、後に結城丈二自身が調整した模様)であり、Xライダーのセタップ機構は、ライダーマンの変身に関する機構を参考にしたという驚愕のトピックが語られます。

 また、神敬太郎の作業を手伝った、「祝文夫(イワイ・フミオ)」なる博士が登場しますが、勿論彼は…ですね。

 今回はこの7エピソードで終了。第二弾・6エピソード分の公開も発表されました。以下にざっと列挙。

 キングダーク登場前後のGOD機関の変貌振りに解答する「GOD機関・内部崩壊秘史」。

 真のゼロ大帝がクーデターを画策していたと語る「ガランダー帝国秘史・真の支配者とは!?」。

 岬ユリ子の過去に迫る「悲劇の女戦士タックル秘史」。

 ネオショッカー~ジンドグマのバックボーンを明確にする「B26暗黒星雲大軍団秘史」。

 バダン総統の意外な正体に言及する「大証言・秘密結社」。

 恐らく、第三弾は「BLACK」から「J」に隠された秘密について展開されると思いますが、まだ情報は出ていません。

 これを機に、昭和ライダー熱がさらに加熱する事を期待します。はい、4月1日ですから怒らないで下さいね。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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2件のコメント

  1. 昨日はバダンバダン・・・じゃなくてバタバタしててコメントできませんでした(涙)
    しかし妄(想)加速に入った俺には、まだ4月1日は過ぎてないのが(おいっ)
    あいかわらずいい意味での特撮バカ的な記事ですね。
    自分には特別サービスとして事前に公開されていた「仮面ライダー外伝 仮面ライダーにならなかった男~滝和也の戦い」が興味を惹かれました。
    ショッカー壊滅後、日本を去った彼がデストロンからデルザー軍団といかに闘ったのか、そして原作者である石ノ森章太郎氏のラフ画にあった、デルザー軍団幻の構成員であるジェットコンドルやミミズミイラとの死闘(何故彼等が日本に来なかったのか)が超燃えました。
    残念な事にもう観る事は出来ないんですよね、4月1日を過ぎてしまいましたから・・・それではまた

    1. 今年も乗っかって頂いてありがとうございます。4月1日企画は1年越しくらいで割と現実化してきたので、実現を期待して書きました。私も滝和也は見たいですねぇ(笑)。

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