トランスフォーマー・マスターピース MP-14 アラート

 トランスフォーマー・マスターピース第14弾は、保安員アラート。

 実は、リリース順で行くとアラートは13番目。本来はMP-13としてサウンドウェーブがリリースされる予定だったのですが、それは延期となり、先に14番目のアラートが先行した次第。

 アイテム自体は、MP-12 ランボルのリデコ。元々G1の初代トイにおいてもランボルとアラートは同型のリデコ商品であり、もっと遡れば、ランボルのオリジンである、ダイアクロンの「ニューカウンタックLP500S」と、アラートのオリジンである同「ニューカウンタックLP500Sポリスカータイプ」も同型のリデコ商品…。というわけで、タカラのリアル変形ロボ玩具黎明期からの脈動が、正に現在も連綿と受け継がれているわけですね。

 まぁ、それはあらゆる玩具メーカーにとって当たり前のコスト削減戦略なんですけど、ダイアクロンやTFの場合、そこにリデコの枠を超えた「個性」を込めてくる辺りの巧さがあると思うんです。

 今回のアラートも、アニメ準拠の為に頭部造形を変更したり、わざわざ胸上部の形状を変えてきたり、肩部のタイヤを造形したりと、入念な「個性の表現」が見られます。アニメにおけるアラートは、ランボルと同型ではなく、明らかに「2シーズン目のデザイナーの手による別物」であり、同様の例として、プロール&ストリークとスモークスクリーン、トレイルブレーカーとホイスト、ジェットロンと新ジェットロンが挙げられます。いわゆる「後期デザイン」は、日本のロボットアニメ寄りのスマートな「前期デザイン」と比べ、ややファットかつトイ寄りな印象でまとめられているのが特徴です。

 上記の理由によってアニメ設定に差異が出ている為、アニメ準拠を強烈に意識して完成したランボルを元にしたアラートは、アニメ設定の再現性という点においてやや難があるのは否めません。些末な事を挙げればキリがないですが、肩部からドアが丸ごとぶら下がっていない事、大腿部がアニメ設定の白あるいは銀ではなく、旧トイ準拠の赤になっている事。この二点が目立つ箇所でしょう。

 ドアについては、変形ギミックの関係で再現不可能。大腿部については、金型の関係で成形色を赤にせざるを得ず、銀色に塗装するにもコストが合わなかったであろう事が想像出来ます。ただ、旧トイ準拠との折衷によって、ギリギリ体裁を保ったのは、逆に賞賛に値すると思います。

MP-14 アラート



 まずはロボットモード。

MP-14 アラート

 アニメ設定の完全再現とはいかないものの、一目でアラートと分かる仕上がり。

MP-14 アラート

 正面。アニメではスマートなランボルの設定に比べ、やや可愛らしいプロポーションに設定されていました。MP版はランボルと基本的に完全同型である為、ややスマートになっていますが、カラーリングと頭部造形の変更の妙により、柔和な雰囲気を湛えています。

MP-14 アラート

 リアビュー。カーモードでのアラートの特徴と言えるパトランプが主張する背中です。

MP-14 アラート

 上半身アップ。上半身だけクローズアップすると、正にアニメのアラートといった感じになります。

MP-14 アラート

 ランボルとの比較。並べてみると、やはり同型。それでもカラーリングの差異は大きな個性を生んでいる事が分かります。胸部にも少し違いがあり、アラートにはランボルにない二つの丸い突起があります。ここはアニメ設定の特徴に準じた造形。

MP-14 アラート

 頭部造形の違いは、変形時に展開する上部のみ。「角」の形状が少し異なるだけで、随分雰囲気が変わります。

MP-14 アラート

 アラートの肩にはタイヤの造形が。実はこのタイヤ、旧トイではランボル、アラート共に露出しており、アニメ設定にてランボルではオミットされ、アラートではトイ通りに露出している設定になったもの。MPアラートでは、わざわざカーモードでは機能しないタイヤを彫刻するという「苦肉の策」が施されています。見事。

MP-14 アラート

 背中の違いはパトランプの有無。実はこのパトランプ、取り外せるようになっており、取り外し後の背中は、ランボルと全く同じパーツである事が分かります。

MP-14 アラート

 当たり前ですが、アクション性はランボルと同様。肩にロケットランチャー、手持ち武器として微粒子ライフルを装備。ランボルには精悍なポージングを、アラートにはやや技術者系のポージング(?)をさせたい処。

MP-14 アラート

 頭部に取り付けられるスパーク状のエフェクトパーツが付属。「ネガベイターを奪え!」におけるトラブルのシーンを再現可能ですが、初出シーンはサーキットの故障ではなく、アラートの名の通り、警告を知らせる発光として描かれています。

MP-14 アラート

 やはりアラートには、塩屋翼さんの温和な声質による、ちょっと二枚目半なシーンが似合います。生真面目なキャラですけど。

 トランスフォームのプロセスは、ランボルと全く同じなので割愛します。

MP-14 アラート

 カーモードは、カウンタックLP500Sファイヤーチーフ。カウンタックが消防指揮者として用いられているケースはない為、架空の存在ですが、もし存在したらすこぶる格好良いという感覚に、かつては痺れたものです。紅白ツートンのカラーリングも実に個性的。

MP-14 アラート

 カーモード正面より。ランボルで定評のあったお墨付きの造形は健在です。

MP-14 アラート

 カーモード側面より。この薄さはやはり素晴らしいですね。パトランプの塗装がやや粗雑だった為、自分でリタッチしておきました。他の部分の塗装は非常に良好です。

MP-14 アラート

 カーモードのリアビュー。アニメのカーモードは、カウンタック風の謎ビークルに設定されていましたが、やはりアラートのカーモードはカウンタックという印象が強いです。TFがトイ中心に回っていた事の証左でしょう。

MP-14 アラート

 ランボルと同様に、武器をセットする事が可能。パトランプのにジョイントが設けられているので、パトランプを取り外すことなく取り付けられます。

 マスターピースのリデコ品は、これまでコンボイとウルトラマグナス、ジェットロン三人衆等でリリースされましたが、今回が最も満足度の高いリデコでした。腕部のドアや大腿部の成形色など、欠点がないとは言えないものの、アニメ設定を極力重視した設計思想には、素直に拍手を送りたいと思います。

 マスターピース、着実に素晴らしいラインになって来ていますね!



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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