騎士竜戦隊リュウソウジャー 第1話「ケボーン!!竜装者」

 新シーズン始まりました!

 正直なところ、超変化球作品だった前シーズン=ルパパトが非常に面白く、今シーズンは王道、しかも4度目の恐竜モチーフということもあって、結構不安だったりもしたのですが、初回を観て完全に杞憂となりました。

 そしてまたまた正直なところ、この初回を観ただけでは世界観を飲み込めないというか、あらゆる要素が矢継ぎ早に繰り出されて圧倒されまくってしまいました。それでいて骨子はちゃんと「第1話」のフォーマットなんですよ。凄くないですか??



王道

 スーパー戦隊の「王道」とは何だろうかと考えた時に、「ゴレンジャー」を持ち出すのは既に乱暴で、様式美を極限まで追求した「ゴーグルファイブ」〜「ダイナマン」の流れを起点として、「ジュウレンジャー」が拡大しまくった自由な世界観こそが現状における「王道」だと言えるのではないでしょうか。

 実のところ、「ジュウレンジャー」には様式美を意図的に排除している部分もかなりあるので、立ち返るならば毎回ほぼ同じバンクシーンが繰り返される「ダイナマン」が「これぞスーパー戦隊」の典型で、その土台の上で何をやっても許されるシリーズを構築したのが「ジュウレンジャー」ということになるでしょう。

 「リュウソウジャー」は、分かり易い恐竜モチーフ、現代の地球(日本)に住む市民から断絶された種族、バックボーンに壮大な伝説が擁するという点で、正に「ジュウレンジャー」的な王道感に彩られています。

 初回にて強大な敵の襲来、身近な人物の死、覚醒、巨大戦といったプロセスを余すところなく展開するプロットは、昭和の戦隊を彷彿とさせるものでした。特にマスターの死を具体的に描写する「痛み」の表現は、近年ではかなりハードな部類に入ります。

 さらに、EDダンス、変身時の派手な演出といった要素にも、「アバレンジャー」や「キョウリュウジャー」といったモチーフを同じくする戦隊の踏襲が観られます。あらゆる定番要素を貪欲に消化するシリーズであると、初回でしっかり宣言してますね。

異色

 一方で、非常に新味を感じる演出が随所にありました。

 まずはマスターと弟子という関係性。力の継承によってマスターたちは変身能力を失うというのが定番ですが、なんとしっかりマスターも変身して戦う! 同じカラーの3人組が画面内に2チーム存在する光景が、インパクト大でした。

 アクション面も、かなり変わっています。例えて言うならば、マーベルやDC映画のような、体術よりも効率的なスタントとアングルでファンタスティックな見せ方を重視した感覚。火花散る剣劇というケレン味たっぷりな演出もなかなかのインパクトを誇り、期待値を大いに高めてくれました。

 他方、戦隊の初回は、概ね圧倒的な新ヒーローの強さを描くことで、視聴者にその到来を印象付けるのが定番なのですが、今回は基本的にマスター含めて手も足も出ない状態に尺の殆どが割かれ、最後の最後にコウが大逆転を果たすというカタルシスが重視されていたのも異色でした。ここは王道を外してインパクトに重きを置いたということになるでしょうか。

 そして、「スーパー戦隊最強バトル」には登場していたグリーンとブラックが、マスター含めてほとんど登場しないのも異色。「ゴーオンジャー」を例にするまでもなく、徐々にメンバーが集結する戦隊は数あれど、本格的な出番が先送りされている分、先にその強さを特別編で見せておくという、妙な段取りの良さには感心してしまいました(笑)。

キャスト

 主役の3人は初回から非常に芝居が巧く、今シーズンが「伝奇物」を標榜するならば、特に重視されるはずの感情表現に長けたメンバーを選抜したということでしょうか。個人的に物凄く好印象でした。

 初回で居なくなってしまうのがあまりにも惜しいマスターの3人には、実写版「セーラームーン」出身(?)の3人がキャスティングされました。沢井美優さん、相変わらず麗しい…。マスターの3人、復活して欲しいです、マジで。

 市井の代表者たる龍井親子に吹越満さんと金城茉奈さん。滅びを思わせる重い初回でしたが、コメディの要素を持ち込んで軽くしてくれたのがこの2人です。吹越満さんは不思議コメディシリーズで東映特撮とも縁のある方ですし、何よりその凄まじく個性的な存在感が貴重。前作の温水洋一さんと並ぶ名バイプレーヤーですね。その達者なアドリブ含めて楽しみです(笑)。

 そして、長老には団時朗さん!! 郷さんですよ。ジャック兄さん、帰マン兄さん、新マン兄さんですよ。この長老の眼力に睨まれたらドルイドンも動けなくなるのでは…。なお、戦隊シリーズへの出演は「ハリケンジャー」以来ですかね。「ハリケンジャー」では、「帰マン」の岸田隊員こと西田健さんと昔対立していたという役回りでニヤリとさせられましたね。

 敵のタンクジョウの声は中田譲治さん、クレオンには白石涼子さんという、これまた巧者のキャスティング。中田さん、顔出しがあるかも知れませんね。何しろシリーズで素面幹部を2回も演じておられますので。

巨大戦

 戦隊っぽくない画作りが衝撃でした。まず、マイナソー完全体が怪獣そのもの。もちろん、怪獣の本家たるウルトラの描写とはかなり異なりますが、怪獣がハイスピード撮影で暴れ回る様子は、およそ戦隊らしくない感覚で脳が迷いました(笑)。

 そして、キシリュウオーの登場で一気に戦隊へシフト。ところが、かつてないほど「軽装」なデザインのキシリュウオーのアクションは、剣劇への誘いとしてこれ以上ないものに。数々のギミックもしっかり描写しており、剣一辺倒ではない立体的なアクションを標榜していましたね。これは凄いです。

次回

 若干未整理ですが、初回の衝撃に任せてつらつらと書いてみました。

 予告ではまだ本格的にグリーンとブラックが合流しないようで、結構挑戦的な構成になっていますね。これから1年間、よろしくお願いいたします。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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6件のコメント

  1. 郷さん、キターッ(笑)まさに帰ってきましたね(ん?)
    そして巨大感あふれる怪獣、野外での撮影なのか、全体的に明るい感じでしたね。
    何かパワードとか海外の作品っぽい感じもいいですね。
    で、郷さんが出てるんで、ここでワンダバが流れて防衛隊の出動シーンが(作品違う)
    まあ、無かったですけど、色々と好印象の第1話だったですね。
    個人的にはギンガマンの第1話を連想してしまいました。
    セーラー戦士(こらっ)に鍛えられた3人と後の二人が、これからどう戦っていくのか、楽しみです。
    それではまた

    1. 正に帰ってきた郷さん!
      5人のメンバーで一つずつウルトラ五つの誓いを復唱して頂きたいですね(笑)。

      私も巨大戦の質感がパワードっぽい感じだな、と思いました。多分、オープン撮影の効果なんでしょうね。とてもいい雰囲気でした。

      そしてギンガマンとの近似性も見逃せませんね。外界と断絶された伝統的な戦士の構造は正にそれですよね。

  2. 年をとるとどうしても物事をナナメに見るようになってしまうのですが。前作のルパパトが数字的に苦戦したため、安定して人気のある恐竜モチーフ、近年のヒットであるシンケンジャーの「侍」から「騎士」へ。などという連想をしてしまいます(反省)。個人的には面白ければ何でもいいんですが(殴)。
    さて、第一話ですが、私もギンガマンを思い出しましたね。戦隊は毎回世界観の構築が凝りに凝っているのですが、特にギンガマンはすごかったと思います。現代文明に縁がないということで、移動は馬、飛び道具は無し。後に出てくる機刃も、飛び道具は弓とボウガンという徹底ぶりでした。
    騎士とマスター、さらに和洋折衷のようなコスチューム等、某宇宙戦争と似ているような気がしないでもないですが(汗)。後々マスターたちが幽霊(ソウル)状態で登場したら、まんまアレですけど。
    後まあ、細かいところなんですが、騎士を名乗る以上、片刃の刀ではなく、両刃の直刀にしてほしかったなぁ、なんて。たぶん、恐竜のイメージ優先なんでしょうね。もちろん格好よくはあるんですが。
    中田さんは、ジュウオウジャー以来、お早い帰還でした。今のところ、ラスボスなのか大幹部なのかは不明ですが、地球を襲って50年の飯塚昭三さんは、常々、自分の後を継ぐ悪役声優を求めているそうです。中田さんは最有力候補、かも?
    それでは、これから一年、よろしくお願いいたします。

    追伸・リュウソウジャーの放送に合わせて、タカラトミーが「最後の騎士王」と恐竜にかけて、グリムロックのCMをツイートしていたらしいです。たくましいというかなんというか・・・(大汗)。

    1. マーチャンダイジングとしては、ヒット作を分析するのは当然でしょうから、シンケンジャーと恐竜モチーフのハイブリッドが目指されたというのは、強ち的外れでもないと思います! やたら関智一さんのシャウトが響きまくるのは、ライダーの要素も引っ張ってますよね。

      ギンガマン、私はギガライノスとかが出てきた時に、雰囲気ぶち壊しだと思ってしまい挫折したのですが、初期のロボットではない銀星獣の攻めっぷりが凄く好きでしたね。今回は巨大メカが中途半端に機械生命体とかではなくて「兵器」に近い設定になっているので、また攻めてきたなと感じます。

      マスターと弟子の関係は、まんまジェダイを想起させますが、むしろジェダイ的な流れで行って欲しいくらいですね(笑)。とにかく霊体でも何でもいいから沢井美優さんには出て欲しい!

      飯塚さんの後は、麦人さんかなと勝手に思っていたのですが、麦人さん自身も結構すぎるベテランなので、中田さんにはガッツリ悪辣な役を期待したいですね。

      またまた一年、よろしくお願いいたします。

  3. 新しい戦隊が始まりました。

    昨年は途中からコメントさせていただきましたので、1話からコメントさせていただく、って結構ドキドキです。

    恐竜戦隊4作品目ということですが、恥ずかしながら全部見たのはキョウリュウジャーだけで、ジュウレンジャーは途中で挫折、アバレンジャーに至っては全く見ていません。(汗)

    初回の感想ですが、色々と見どころがありすぎてうまくまとめられません・・・

    オープニングの巨大怪獣は、ウルトラマン?って思っちゃいましたし、クレオンはラッキューロを、キシリュウオーはその配色から、キョウリュウジンを思い出しました。

    そして何よりひと時の間とはいえ、1画面に「赤・赤・青・青・ピンク・ピンク」ってグリーンとブラック未登場なのになんか新鮮でした。

    後はソウルスロットにリュウソウルを装填したときのボイスが盛り上げてくれるんですが、以外に尺を食うのではないかと気になってしまって。。。(苦笑)

    また1年かけて楽しみたいと思います。

    1. 私自身がユルユルでやってますので、全く緊張される必要はないです(笑)。大昔の「ウルトラマンメビウス」の頃は大真面目に議論したりしてましたけど、今はご覧のとおりで…。

      さて、恐竜モチーフですが、ジュウレンジャーは今観ると結構色んな発見があって面白いかも知れません。私もアバレンジャーは挫折組なので、どこかでちゃんと観なければと思っているのですが、最新の戦隊を追いかけるので精一杯ですね。

      私もクレオンは声も含めてラッキューロを思い出しました。キョウリュウジャーからのスピンオフに近い雰囲気とまで言えそうですよね。

      ごく個人的な感想で申し訳ないのですが、同色の戦隊が2チーム画面に収まるというのは、私が数十年前に夢想した戦隊のアイデアを彷彿とさせて、物凄いエキサイティングな体験でした!

      そんなわけで、また1年間よろしくお願いいたします。

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