騎士竜戦隊リュウソウジャー 第29話「カナロの結婚」

 サブタイトルに期待すると、またまた置いてけぼりを喰らう一編ですが、遂にカナロに相思相愛の人物が登場する件、「ゴミ」の捉え方に一石を投じる件、ガイソーグの装着者の件といった具合に、詰め込みという指摘も否定できない状態にありながら、スッキリ見られて完成度も高いという、見応え抜群なエピソードでした。

 そして、次回に引っ張る要素もてんこ盛りながら読後感が良かったのは、やはりカナロの清々しい「決意」によるものでしょう。



ポルターガイストマイナソー

 ポルターガイストというより、「悪魔の棲む家」がデザインモチーフとなっている今回のマイナソー。まあ、「悪魔の棲む家」で起きる不可思議な現象もポルターガイスト風なんですけど。

 いわゆる「ゴミ」が元になっているという設定で、その「ゴミ」は実はアユム少年の大事にしていた恐竜のぬいぐるみであり、母親に「ゴミ」として勝手に捨てられたというバックボーンを持っています。ほぼ誰しも幼少期に経験したことであり、現在ではオタク夫のコレクションを妻が勝手に破棄あるいは売却なんていう、完全に笑えない話も…。

 今回のマイナソーは、そのアユム少年との無垢な関係性が影響してか、基本的に攻撃性がなく、またカナロの「説得」に苦しみ始めるという、良心回路かあるいは「バイオマン」の新頭脳ブレインのような、東映特撮ヒーローの伝統芸を見せてくれたのが嬉しいところ。元となったぬいぐるみを取り込んでいて、それを「救出」するという展開も熱かったですね。

 このマイナソーが発生させる毒ガスをガチレウスが利用するという、クレオンの意図とは関係ないところで展開される「勝手な作戦」が、またしても(何故か今回テンション高めな)クレオンの悲哀を浮き彫りにしていました。

 肝心のポルターガイストですが、特にそれらしい描写はなし。余談ですが、ホラー志向だった「シャリバン」では、敵側のネーミングに「ポルター」「ガイラー」が使用され、その影響度の高さが伺い知れます。

カナロの結婚寸前

 今回はゲストに「仮面ライダーW」でお馴染みの山本ひかるさんが登場。ちょうどウチの子が最近Amazon Prime Videoで「W」を見ていたので、自分の中では超タイムリーな登場でした。ちゃんと緑のスリッパ持ってましたね(笑)。

 山本ひかるさん演じる優衣という女性は、遂にカナロと純粋に相思相愛となるキャラクターでした。しかも、カナロはフられる側ではなく、初めて自ら別れを告げる側に立ったわけです。また、優衣の父親が警察官で、怪我をして帰宅することも多かったという設定に、何となく照井竜・亜樹子夫妻の影が感じられたりして、興味深いところですね。

 残念ながら、尺不足は否めないところで、二人がどう惹かれあったのか、今一つ描写不足。優衣の「危ないことはしないで」という願いに関しても、カナロの「職業」を事前に知っているだろうことは明らかなわけで、ちょっとデフォルメ過多だったかな…と感じてしまいました。結局は、その生業を含めてその人なわけですからね。まあ、大人になると純粋に受け止められないわけです(笑)。

 しかし、その辺は些細なこと。カナロが結婚を採るか人々の守護者たるを採るかという部分がドラマのメインであって、今回はそこがちゃんと充実していた上に、当初は陸のリュウソウ族や地上の平和など意に介さなかったカナロが、遂に自分の最大の目的よりも地上の平和を優先させたのですから。

バンバ、そしてガイソーグ

 ガイソーグの「中身」はナダだったわけですが、ガイソーグ自体が「さまようよろい」なわけで、ナダが「ガイソーグの正体」というのはかなり語弊があると思います。

 ここは正直なところ衝撃度がかなり薄めで、中から郷さんこと長老や、死んだはずのマスターレッドが出てくるといった私の勝手な妄想に比べれば、実に大したことのない展開。そもそもガイソーグ自体に何ら意外性がない(詳細が描かれていない)ので、ナダが出てきても意外性が薄い(笑)。

 ただ、バンバが関わった時点で、この件は勝利。何しろ、バンバはナダの「知り合い」ですからね。太刀筋に違和感を感じるくだりや、「単純な攻撃の繰り返し」と指摘するあたり、もう素晴らし過ぎます。「単純な攻撃の繰り返し」というのは、正にナダが実力者でありつつも実戦経験が乏しいことを巧く表現してますし、メラメラソウルの「練習」がこのバトルに繋がる辺りも見事でした。

 ちなみに今回は坂本組なので、素面アクションもてんこ盛り。特にメルトとバンバのアクロバティックなアクションには、演者の身体能力の高さが存分に表れていて素晴らしいインパクト。勿論、他のメンバーも柔軟性が確実に上がっていたりと、アクションスキルの向上が手に取るように分かります。嬉しいですね。

次回

 さて、ナダは何故ガイソーグを着ることになったのか、そしてその行動の根底にある心情は何なのか、インパクトが薄いと言いながら非常に気になるところです(笑)。

 また、エピローグで突如オトちゃんが持ってきた「ピータン」も次回への引きとして作用。次回がかなり楽しみになって参りました。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. 愚兄です。

    おっしゃる通り詰め込み過ぎ。そして説明不足。演技もストーリーもアクションもいいだけにもったいないです。

    マイナソーがカナロの呼びかけで苦しむシーン、あれはアユム少年が言わないと効果ないんじゃないのと最初は思ったのですが、あとからマイナソーはカマロの説得、あれを誰かに「言ってほしかった」んだろうなと考えなおしました。その反面、ワイズルーの「とどめの一言」を言われて巨大化していたらやっぱりカナロに言われたぐらいじゃダメだろうなとかも考えたり。

    ガイゾーグとナダに関してはまだ予想が外れたわけじゃないと思いますが(笑)、何話か前の「この鎧は自分の意志では脱げない」発言やスーパーバトルの時の問答無用な暴れっぷりを思うと設定にぶれがあるように感じます。
    ではまた。

    1. 基本的に毎回色んな話が並行して進むので、散らかっている印象があるのは否めないところですね。日常と非日常が並行で進んで交差していく「ウルトラマンタロウ」の偉大さが分かります。

      ガイソーグは、スーパーバトルを勘案すべきなのか否かすら、よく分からないので解釈が大変なんですよね。単なる「暴走する鎧」とだけ捉えておくのが良いのかも…。

  2. いろいろ見せ場が多かった今回の話ですが、見終わった感想がなぜか薄いという(苦笑)ちょっと詰め込みすぎたというか、言われるとおり尺がが足りなかった感じですね。
    あとガイゾーグの正体ですが、えーっ、ナダかよというのが正直な思いでした(おいっ)
    まあ、この自分の思いを、いい意味で裏切ってくれるのが戦隊シリーズだと思ってますので、次回に期待したいです。
    それではまた

    1. 尺不足で掘り下げが不足という典型だったように思います。要素一つ一つが良いだけに勿体ないですね。

      ガイソーグの着用者がナダというのは、私もヒネリの無さに狼狽したクチですが、何らか「その先」が待っていることを期待しています。せっかくガイソーグに関しても色々グッズが出ているので、もう少し「まともな活躍」が見たいところですね。

  3. 坂本監督のボリシーとして、なるべく多くのフォームチェンジやガジェットを見せる、というものがあるので、何気にクラヤミソウルが大活躍でした。ブラックホールは反則的に便利すぎる・・・(汗)。
    いつの間にかバンバも強竜装が使えるようになっていましたが、クライマックスでは6人全員が強竜装を纏う、という展開があるのではないかと思うのですが!
    結婚より騎士としての道を選んだカナロ。まあ、そうでないとお話が終わってしまうのですが(汗)。そう考えると、戦いが終わったあと結婚、となったジェットマンは、戦士としてかなり幸せだったんですねー。ひとりを除いて(号泣)。優衣さんもそれまで待っててくれればよかったのに・・・。

    1. 坂本監督は、日当たりの悪いガジェットにフォーカスするのが巧いですよね。ウルトラの映画における矢継ぎ早なフォームチェンジなんかは、もう芸術的です(笑)。

      全員の強竜装、見たいですね。バンバやメルトに実績があるので、レッド偏重はギリギリ回避されていますし、期待して良いのではないでしょうか。

      ジェットマンの結婚は、非日常から日常に戻っていくことの象徴でしたね。カナロの結末もそうであって欲しいところです。

  4. 今週は素面アクションが盛りだくさんで見ていて楽しかったのですが、ストーリー的にはちょっと・・・という感じでした。

    ガイソーグについては随分と設定がブレているような気がしますね。最強バトルでの意思を持った鎧、という設定は本編には引き継がれてないのでしょうか。お祭りはお祭りで別設定であったとしても仕方がない所はあるのかもしれませんが、放送日が続いているだけになんとなく消化不良的な感じです。それとも中身であるナダにさらなる秘密があるとか。。。

    カナロの結婚についても初めから結果は予想できる範疇であるので、この先については、オトちゃんが持ってきたピータンが繰り広げるであろう次の展開に期待しましょう。

    1. やはり、皆さんガイソーグ周りについては解釈に苦慮していらっしゃるようで。メインキャラ推しの割には登場回数が極少ないですし、ナダは途中参入のキャラですし…で、伏線としては矛盾は少ないものの、印象が弱すぎるという点がダメなんでしょうね。

      カナロについては、もはやお約束が強すぎてなんとも(笑)。逆にどこまでこのネタを引っ張っていくのかが楽しみになって参りました。

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