ウルトラゾーン 第6話「THE LOVE」

 深夜にひっそりと放送されている「ウルトラゾーン」。

 普段は、「怪獣の居る日常」を滑稽さを交えて描く、シチュエーション・コメディ(いわばコント)を集めた番組であり、クスッと笑わせるタイプの番組。アイキャッチに職人芸的な笑いを導入したり、音楽が宮内國郎先生オリジナルスコアのリメイク(福田裕彦さん制作音源)だったりと、ウルトラ愛に溢れた素晴らしいコンテンツです。

 この第6話、何の前情報もなく見たのですが、導入部からしていつもと全く違う印象。名女優・丘みつ子さんがザラブ星人をモデルに絵を描いているという、とんでもない画が突然現れ驚愕させてくれました。

 そして…。



 結局、丸々30分、ザラブ星人と丘みつ子さん演ずる「ミツコ」の物語でした。

 ザラブ星人を日常生活へと誘うミツコの様子が、粛々と描かれ、徐々に狡猾な宇宙人から、地球の風俗習慣へと馴染んでいくザラブ星人が描かれました。それは、いつものシチュエーション・コメディに似ていて、私は長いコントを見ているような気分になったわけですが、途中から、どうもこの話は切ない終わり方をするのではないかという雰囲気になってくるのでした。

 そしてやはり、その終幕は切ないものでした。

 ウルウル来ました。丘みつ子さんの演技が、そして無表情なザラブ星人の背中の寂しさが、何とも素晴らしすぎて…。

 ミツコの亡き夫として、関智一さんが出演してましたが、関さんはザラブ星人の声も担当しているんですよ。それが暗に意味する真相とは…?

 これ、2011年の「ウルトラQ」でした。宇宙人が登場するSFとしても一級品。あまりにも驚いたので、記事をアップしてしまいました。

 ここ数年、円谷プロ自体が色々な騒動に見舞われ、リリースされる映像作品はそれぞれ高い完成度を誇っているのですが、どこか「引っ掛かり」に乏しい印象があり、内心モヤモヤしていたのは否定できない感じでした。しかし、全くノーマークの深夜番組で、こんな「円谷の底力」を見せられ、嬉しくなってしまったのです。

 普段のコントも面白いし、この「ウルトラゾーン」、ウルトラファンならずとも必見ですよ。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. こんな番組やってたんですね。
    初めて知りました。
    うちの地方でも放送してるみたいですし、今度観てみたいと思います。

  2. 是非見てください。
    万人向けの面白さかどうかは分かりませんが、概ねウルトラファンの評判は良いようです。

  3. 観ました。
    ちょうど放送がこの回でした。
    私、ウルトラQは未見で、非日常の状況でお話が進行していくのは新鮮な感覚でした。
    すごいいい話で「なるほど、これがウルトラQの感覚か・・・」と思いながら観ていたのですが、
    次回予告を見るかぎり、面白い内容みたいなので今回が例外なんですか?

  4. 初めてのウルトラゾーンがこの回だと、誤解されてしまうかも知れません(笑)。
    デフォルトは、コント3本のバラエティといった体裁ですね。次回も是非ご覧になって、その落差をお楽しみ下さい。

  5. はじめまして。
    ウルトラゾーン面白いですよね。
    いつもは変なコントや、CM前後の変なイラストなど、腹を抱えて笑っていますが
    6話は号泣してしまいました。
    この前はマッサージ屋で肩の位置がどうとか言ってたザラブ星人が
    あんな素敵なラブストーリーで登場するとは思いませんでした。
    それにしても丘みつこさん、よく出てくれましたね。
    怪人相手に素晴らしい演技を見せてくださいました。

  6. はじめまして。
    丘みつ子さん、素晴らしかったですね。
    極端な話、丘みつ子さんとザラブ星人が並んでいるというシチュエーションだけでも、この話の価値が約束されたと言っても過言ではないですね(笑)。

  7. セブンやエースなどの脚本を書かれた市川森一さんと、仮面ライダーなどを製作した元東映生田スタジオ所長の内田有作さんが亡くなられたとの事です。
    謹んでご冥福をお祈りします。

  8. >天地人さん
     そして、石堂淑朗先生、内山まもる先生まで…。
     ウルトラの賢人達が、次々と光の国へと旅立って行きました。やりきれない思いが募りますね…。

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