快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #38「宇宙からのコレクション」

 東映製作の「宇宙からのメッセージ」を思わせるサブタイトルで、まさか第三勢力の宇宙人とかが登場する!? と妙な予想をしていましたが、実際は極めてオーソドックスな新ガジェット入手譚でした。

 さすがに新ガジェット入手のみに話を振るわけにもいかなかったのか、ザミーゴやデストラといった、口の悪さを隠さずに言えば「ギャングラーの空気」メンバーを活躍させ、何らかの伏線を張るといった仕掛けが導入されています。

 一方、ノエルの「居場所」を確立するかのようなテーマもあり、こちらは胸に響く良いお話でした。



イセロブ・スターフライド

 伊勢エビなのかロブスターなのか(笑)。

 ジャネークとコンビで登場しましたが、一瞬でザミーゴに消されてしまうという、不遇な怪人。このくだりのためだけに登場したとすれば、その秀逸なデザインと造形が豪奢に過ぎるわけですが、果たして…?

ジャネーク・ソーサー

 ヘビ怪人は、それこそ数え切れないほど登場して来ましたが、まだ新しいデザインアプローチが残っているんだなぁ…と思わせる秀逸さ。その異形美には痺れましたね。

 イセロブとコンビで登場しつつも、デストラの策に利用されてしまいますが、本人はあまり反感もない様子。むしろ、ルパンコレクションによる「機械を自在に操る」能力を存分に駆使して、ビクトリーストライカーの回収を嬉々として邪魔してくれました。

 ジャネークの声は松山鷹志さんで、「仮面ライダークウガ」の杉田刑事役が特撮ファンにとって馴染み深いと思います。私は声優さんとしての活躍を後から「トランスフォーマー・カーロボット」で知りました。役柄は、冷静な二枚目から凶暴な悪役、今回のようなコミカルなワルまで多岐に亘ります。

ビクトリーストライカー

 ジャンボジェット機のような新ガジェット。何故かアルセーヌによって宇宙に隠されていたという設定(笑)。内部にサイレンストライカーを搭載していました。

 このビクトリーストライカーが、今回のお目当て。しかも警察側も押収に動くということで、さながら争奪戦の様相を見せるのか…と思いきや、基本的に入手に奔走しているのは快盗側で、警察側はほぼノエルに関わっている状態でした。

 ジャネークの持つコレクションの能力は素晴らしいものがあり、このビクトリーストライカーの制御をまるで許しません。このあたり、ファンタジー戦隊でよく見られる「所有者の資格を試す」くだりによく似ていて、実際に今シーズンでもルパンマグナムがそれに該当しました。今回はその繰り返しではなく、あくまで制御できないのはギャングラーの所為であるというのが目新しいですね。また、ルパンコレクションも本質的に「機械」であるという部分が強調されたことになり、使用者の善悪に左右されない危険性をも描いていました。

サイレンストライカー

 こちらは「サイレン」が付いていて、いかにも警察ガジェットっぽい感じですが、ルパンレッドがビクトリーストライカーから脱出する際に乗ったことで、快盗側のものとなりました。

 ルパンエックスをスーパールパンエックスにパワーアップさせる能力があり、ここに来てまさかの追加戦士強化となったのは、かなり驚きです。しかも、巨大な的を地上から砲撃によって撃破するという、超ド派手な決め技を披露し、最近ちょっと弱体化が顕著だったノエルの面目躍如となりました。

警察官・ノエル

 ここ最近、快盗としての利益を優先しすぎているというのが、ノエル本人の、そして圭一郎たちの共通認識となっていたようで、改めてノエルの本質が快盗であることを裏付けています。

 こうなると、警察に身を置いている意味が少し薄れてしまっているとも言えるわけで、実際にコグレさんの調査能力が警察の先手を取っていることも多く、国際警察の本部付であるメリットも描写が少ないので、益々よく分からなくなっています。

 しかしながら、ノエルが享受する最大のメリットは、国際警察の掲げるギャングラー殲滅に大きく貢献することで、快盗の正体を明確に示しつつも活動できているという点であり、それは正に魁利たちとは一線を画すポイントです。即ち、警察に椅子があること自体がノエルの活動に有利な要素ということになります。

 今回、その「椅子」がいかにして確保されたかという流れが披露されましたが、そこに圭一郎のメンタリティーが関わっているのが実に巧いところ。ノエル自身はパトレンジャーの足止めといった具合に、完全に快盗側の論理で動いていますから、ノエルの居場所は圭一郎によってもたらされたと言えます。

 圭一郎以外の二人を確認しておくと、咲也は人好きな面を全開にしているため、ノエルがいかなる行動をとろうとも邪険にすることを嫌がり、つかさは圭一郎に近い立場ながらも、やはり女性ならではの配慮のようなものが感じられます。つまるところ、ノエルとは微妙な関係を何となく維持しているという感覚でしょうか。

 圭一郎の場合は明確で、ノエルを本気で警察官だとは思っていない節があります。しかしながら、いざ戦いの場でノエルに危機が訪れれば、等価値の人間として、助けない選択は持たないというポリシーです。ここは、魁利に対する妙な情に突き動かされる一面とは良いコントラストになっていて、圭一郎というキャラクターに深みを与えています。

 選択の余地がないのは魁利たちだけではなく、ノエルにしても、圭一郎にしても同様だったというのは、個々人のポジションを明確化するのに一役買っており、そこが微妙に融解していくプロセスを最終クールで楽しんで欲しいという、制作側からのメッセージであるかのようですね。

ボウケンドライバー

 今回のルパンコレクションはボウケンドライバーでした。公式サイトでの「轟轟」というタームがヒントですが、このステアリングの形状ですぐに分かりますね。

 そういえば、ボウケンレッドこと高橋光臣さんが、血気に逸る海江田信義役で「西郷どん」に出演されてますけど、実に良い味。粗暴でお茶目で心配性という役柄を見事に演じられています。

次回

 今度はルパンレッドのパワーアップ?? 一週ほど空いてしまいますが、楽しみに待ちたいと思います。

 



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. イセロブはルパンコレクションは持っていなかったのでしょうか?コレクションの能力を使用するシーンはありませんでしたが(エビフライミサイルは金庫が光らなかったので自前の能力でしょう)、もし持っていたらルパンレンジャーの目的はこれで一巻の終わり?

    ところで伊勢海老は英語でロブスターです。西洋では日本ほど魚介類を細かく分類しないので大きい海老は全部ロブスターです(ちなみに小さい海老は全部シュリンプ)。

    1. >伊勢海老は英語でロブスターです。

      なんと!大変勉強になりました。英語はなかなか大雑把でいいですね。

      イセロブ、多分コレクションを持っていたのではないでしょうか。
      次回がザミーゴ絡みだというのは、その辺が仕掛けの一つになっているのではないかと、勝手に予想しています。

  2. 飄々としていながらも、やはり居心地が悪かったノエルが「人間」として認められたのは、ルパン側に「快盗」として認められた事と対比になっているのかもしれません。
    なんだかんだで、カイリもノエルも相当圭一郎に借りがありますよね。ガジェット関連では、ルパレン優遇になってしまったかもしれませんが、その分、ドラマパートではパトレンが深くなっているような気がします。
    細かいところでは、カイリと初美花が、ちょこちょこじゃれ合っているのが可愛かったです。

    1. 片や人間、片や快盗…なかなか深いですね。両戦隊のスタンスの違いをノエルで見せるという手法が巧いですね。

      魁利と初美花のじゃれ合いは、年齢の近さを感じさせていいですね。透真がちょっと離れたところから二人を見守っている感も出て。

  3. 一瞬にして消え去ったイセロブ・スターフライドですが、誰もコレクションに言及してないところを見ると再登場するんでしょうね(笑)
    ここら辺は、某兄弟怪人で証明済なので、別に驚かなかったですね。
    でも、これで再登場しなかったらホントに驚きなんですけど、そんなもったいないことをしないのか東映 クオリティ(こらっ)
    それにしてもパトレンジャーの3人が攻撃でやられるシーンで、つかさのアングルがお尻と太ももを強調した感じに見えたのは気のせいでしょうか?
    ああっ、なんかおっさん目線になってしまう自分が(自爆)
    それではまた

    1. イセロブの再登場、まあ規定路線でしょうね(笑)。「ギャバン」でサイモンスターが合成器にかけられる前だけに登場して、未だに驚きなんですけど、さすがに最近はそんなことはないでしょう。

      つかさのシーンは、殆ど狙ってるんじゃないでしょうか…。かなりあざといアングルでしたよね。

  4. 今回はつかさ先輩の倒れこむアングルにしか目が行ってませんでした。照

    最近、雑誌等で見かけるようになり魅力的な姿が世間に知れ渡ってきてました(合ってますよね?)が、倒れこんだ時のアップ画面が魅力を強調しているシーン、って言ってしまうと次回以降の楽しみが無くなってしまうので、大人向けのサービスカット、ということにしておいたほうがいいのでしょう。(これ表現合ってます?)

    それにしても圭一郎はブレませんね。胡散臭いと思っている(それが本音だったの?って感じですが)ノエルでさえ、一人の人間として助ける、という気概。

    怪盗の目的を理解しながらそれでも警察官としての正義を貫き通す!っていうのは自分不器用ですから、的な昭和っぽさで心に響きます。

    次回は一回お休みみたいですね。うーん、待ち遠しい。

    1. ホント、つかさのアングルはあざといですよね。

      色んな雑誌のグラビアに登場し、しかも表紙まで飾るなんて、歴代ヒロインでも珍しい状態なので、いかに奥山かずささんの魅力が際立っているか分かります。

      圭一郎は、単純明快な論理で動くから、見ていて気持ちがいいですね。さて、魁利の正体の気付いたときに、どういう機微を見せて驚かせてくれるか、楽しみですね。

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