騎士竜戦隊リュウソウジャー 第18話「大ピンチ!変身不能!」

 サブタイトルに偽りあり。変身自体は可能でもすぐに解けてしまうというのが正解。

 日本特撮界に数多存在する「変身不能エピソード」が湛える言い知れぬ危機感、今回はあまり感じられないのが逆に面白い特徴となっていました。

 しかもそれは「欠点」なんかではなく「リュウソウジャー」ならではの語り口だったんですよね。良い感じにドライブがかかってきたと思います。



ゴーレムマイナソー

 今回は器物由来とは言えかなりオーソドックスなプロットでした。

 このゴーレムマイナソーは、神社に奉られている願い石が元になっており、巫女さんが登場したりとアニミズム全開な感覚で私好み(笑)。願い石の無尽蔵たるエネルギーだけでなく、人々の願いまでも吸い取って際限なく巨大化していくという、冷静に考えると凄まじく恐ろしいマイナソーです。

 今回は、早くもWeb検索を使いこなしているメルトが、元となる願い石を発見。ところが既にカナロが巫女さんに接近しており、バンバが容赦なく願い石を斬り捨てるといった具合に、各人の「やりそうなこと」を結集した筋運びが痛快。

 そして真っ二つになった願い石によってゴーレムマイナソーまで二体に増え、更なる増殖を防ぐためにバンバ自ら願い石を守りに行くというシーンまで、無駄なく繋がっています。

 前回のよく分からない(でもイイ話だった)バンバの行動に比べると、今回の方が納得感が高く、彼のポリシーをより強く感じることができました。

 ある意味、現時点で最強のマイナソーとなったゴーレムマイナソーに対し、海と陸の両雄が融合したロボで立ち向かうという流れも自然で、新ガジェット登場編としてもお手本のような作りでしたね。

バンバとカナロ(そしてコウ)

 前情報では、二人の激しい対立劇を匂わせていたので、今回の雰囲気には若干肩透かしを食らった感じになってしまいました。しかし、前回からの流れだとこれが自然ですよね。

 カナロが思いを寄せる巫女さんが大切にしている願い石を、容赦なく真っ二つに、しかも一旦容赦したフリをして隙を突いて一刀両断するバンバの姿は、格好良くも冷徹で、一種のアンチヒーロー的な感覚でした。レギュラーメンバーでここまで冷徹さをフィーチュアしたメンバーは前代未聞で、アンチヒーロー代表たるあの結城凱にしても、人の情念以外の部分では普通のヒーローでしたから、いかにバンバが特殊なキャラであるか分かります。

 カナロは、マイナソー殲滅よりも自分の思い人の方が大切であると明確に示しており、ここでは海のリュウソウ族の存続の方が優先されているわけです。ただし、やはりまだまだ単なる女好きのイメージからは脱却できていません(笑)。

 この両者の仲裁に入るのがコウ。カナロにはバンバの非礼(?)を代わりに謝り、まずはカナロの心を解すことに。このあたり、カナロは決して強情ではないことが分かりますね。

 一方のバンバはコウの言動が影響したのか否か、一転して願い石を守る行動に。ここで巧いのは、願い石そのものが大事だから(=巫女さんを悲しませないため)なのか、マイナソーをこれ以上増殖させたくないからなのか、視聴者のご想像にお任せしますになっているところでしょう。バンバの口からは、当然の如く後者の理由が語られましたが、照れ隠しのようにも本心のようにも見える絶妙な芝居が光りまくっていました。スッと立ち去る彼を追って、トワが駆け寄るエピローグも凄く良かったですね。

変身が解ける…ということは

 素面アクションが必然的に増えるということです。

 今回の演出はその辺にこだわる坂本監督ではないので、失礼ながらそこまで期待していなかったのですが、蓋を開けてみれば結構なアクションてんこ盛り状態でした。

 今回はそれぞれのキャラにマッチしたアクションが付けられているのも特徴で、特にメルトの騎士っぽさあふれる剣捌きが新鮮でしたね。こういう殺陣があるとアクションに意味性が生まれてくるので良いですね。

 白眉はアスナとバンバの異色コンビ。

 バンバの身体能力の高さを描くべく、アクロバティックなアクションに自ら挑む岸田さんが凄い! 難しい「側宙」をこなす格好良さにシビれました。

 アスナも負けじと激しいアクションを展開。滑りを用いた奇襲や攻防一体の剣術など、見所は満載でした。尾碕さん、運動神経のなさを自称していたそうですが、それを微塵も感じさせない見事な立ち回りだったと思います。

 番外編として、バンバ VS カナロの一戦も。目の芝居で激突する迫力がなかなかでしたね。

正義に仕える気高き魂!

 6人バージョンの名乗りが遂に実現! てっきり6本の剣かと思っていましたが、リュウソウゴールドの武器を剣と呼ぶのは少々違和感があるので、この名乗り口上で正解ですね。これまでも、人数に応じて口上を変えているので、今後も「○本の剣」バージョンが何度か登場してくるものと思われます。

ギガントキシリュウオー

 ティラミーゴ、ディメボルケーノ、モサレックスの3体合体にして、現時点で恐らく最強となるロボ。バンバとカナロの対立劇から、コウとカナロの和解にシフトするプロットはかなり強引だったとは思いますが、それが吹き飛ぶような勢いではありましたね。

 超巨大化したゴーレムマイナソーを、さらなる大きさで圧倒する構図かと思いきや、ゴーレムマイナソーの方が遙かに巨大だったという展開の意外さも相俟って、よりその強さが強調されることになりました。格闘系の戦い方なのも良かったですね。

次回

 次回は見るからにコミカルな雰囲気。こういうノリが出てくるあたり、かなりの余裕が感じられ始めましたね。



投稿者: SirMiles

【マー 🏃 SirMiles / Masafumi Fujimura / https://sirmiles.com / maruzoku】 Run、音楽、プラモ。趣味は広く浅く。生業はIT系。

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8件のコメント

  1. 愚兄です。
    今回、確固たる意志を持って「人々を守りたい」ではなく「守る」と言い切るリュウソウジャー6人が良かったです。全く個人的な話ですが、自分はゴセイジャーの「何とかなる、なる」という他力本願かつ結果オーライな口癖が嫌いで、それでも最終決戦では「何とかする!」と言ってくれるのを期待しては観続けたけれど結局そんなことはなかったという苦い思い出があり、これがあったので今回のリュウソウジャーは胸のすく思いでした。
    特撮パートについて、前回ディメボルケーノとモサレックスが兄弟と呼び合う仲だったことが明かされたのでてっきりギガントキシリュウオーになる(ティラミーゴと合体する)ことを渋るモサレックスをディメボルケーノが説得するのかと思っていましたがそんなことはありませんでした。もっともこれをやったらやったでまた「詰め込み過ぎ」と感じたかもしれませんが。

    1. あー…ゴセイジャーの「奇跡」ありきの作劇、私もイマイチ好みじゃなかったんですよね。ファンタジー系戦隊の悪い面だったわけですが、リュウソウジャーはそのあたりシビアに検討しているような気がしますね。

      モサレックスまわりの描写はかなりライトな感じですが、あのくらいがテンポ感としては良かったのではないかと思います。やはり「詰め込みすぎ」は良くないですね。

  2.  バンバの行為は戦隊ヒーローとしては、やったらアカンやろ、レベルのものでした。あの不意打ちは流石に「ええっ!?」となりましたよ。
     前作のルパパトや、ハリケンジャーのゴウライジャーのように、物理的に分かれているチームというのはありましたが、チーム内でここまで乖離があるって珍しいですよね。本文で書かれていますが、あの個性的すぎたジェットマンでさえ、ちゃんとヒーローをやっていたのに。
     ただ、メンバーそれぞれの基本スタンスがはっきりしたようにも思えます。コウたちは守るため、バンバはマイナソーを倒すため、そしてカナロは基本、自分のためだけに戦うという・・・。バンバもそのうちデレてお笑い担当になるのではないか、という予想も多かったのですが、ここまで徹底してくれるなら、終盤までこのまま行ってもいいんじゃないかと、思いはじめています。
     ゴーレムマイナソーと願い石の関係については、ロジックがしっかりしていて感心しました。生み出した物体(人物)をどうにかしても倒すことができない、という展開は非常に面白かったので、これからも期待したいところです。ただ、そうなると結局、新ロボによる力押しになってしまうのですが、まあ、なんというか、それが戦隊のお約束というか(苦笑)。
     ワイズルーは確かに、下級幹部の域を出ていないんですが、お話が分かりやすくなりますし、何より緑川さんと白石さんが楽しそうなので、このままで良いかな、なんて(笑)。

    1. バンバの行動、衝撃的でしたね。戦隊らしいヒロイズムの対極というか、実益主義に過ぎるところがインパクト高めでした。

      バンバのコミカルキャラ化は、カナロの登場と共に出始める予想をしていたのですが、まだまだ…というかこれから先もないかも知れないですね。もし最終編まで貫徹してくれたら(キャラ入れ替わり編とかは除いて)、それはそれで本当に凄いことですよね!

      緑川さんと白石さんのコンビは、アドリブも飛び出したりして本当に良い雰囲気なので、長く続いて欲しいですねぇ。

  3. どう考えてもタイトルは
    「大ピンチ!変身解除!」
    ですよね(笑)まあ、予想通り素面アクション全開で楽しめましたが、きちんとワイズルーに苦戦していた二人が、変身後に圧倒する描写をしてくれていて良かったです。
    あまり変身前のアクションが切れすぎると、おいおい変身すると弱くなってるじゃないか思うもんで(汗)
    それしても、きちんと左手の薬指に指輪を付けていたのに、気付かないカナロ・・・ひょっとして顔しか見てないとか(おいおい)
    それではまた

    1. 変身前後でちゃんと戦力が変わるのは良かったですね。
      かつては烈が蒸着した途端に動きのキレが落ちるとか言われたりしていたり(笑)、色々苦労の跡が見受けられますよね。

      カナロは顔しか見ていません。間違いないです(笑)。

  4. バンバの非情さって怖いですねぇ。一度引いたと見せかけて、ってもはや「兄さん」レベルじゃない怖さを感じました。

    ロボ戦でヒーロー側が敵を見上げて戦う感じが新鮮でしたね。大体は全合体とかしてしまうと敵を見下ろす位デカい!って感じが多いと思うので。

    ギガントキシリュウオーって喋る方の騎士竜が合体した一つの完成系ですよね?あと4人分のじゃない(喋らない)騎士竜は段々と出番が無くなっていくのでしょうか。大人の販売戦略事情がいつ炸裂するのでしょう。笑

    後は、最近トワの存在感が薄い気がするのですが・・・年下キャラもオトちゃんに取られかけている感じですし、出てきたころの小生意気な感じもなくなってきていると思うので、その辺イジっ・・・フィーチャーしてほしいですね。

    1. バンバの衝撃に、やはり皆さんやられてますねぇ(笑)。私も勿論やられました。

      フラッシュタイタンのようなトンデモ威圧系を繰り出してくる予想、今回見事に(良い意味で)裏切られました。巨大戦に変化を付けていく工夫は、リュウソウジャーの見所の一つですね。

      騎士竜のゾロ化は、恐らく避けられないのではないかと…。やはり喋らせるべきだったのかなぁ…と思う処はあります。

      トワは、ゴーオングリーンのポジションになんとなく似ていて、ゴーオングリーンのように最後まであんまり目立たないのか(笑)、それとも後半で一気にフィーチュアされるのか、興味は尽きません。

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